国際競争力急上昇続き52位(144カ国中)に

2014/09/04

5年前の現政権発足時85位から33ランク改善
インフラ、起業環境、治安・統治などに課題も

 

 世界経済フォーラム(WEF)は9月3日、最新版(2014~15年度)『国際競争力報告書』を発表した。最新版競争力ランキングは、世界144カ国・地域(昨年は148カ国・地域)の経済データや、経済界や研究機関へのアンケート調査をもとに算出された。

 『国際競争力報告書』の総合的な競争力ランキングには、コロ ンビア大学のザビエル・サラ=イ=マーティン教授が世界経済フォーラムのために開発し2004年に導入された世界競争力指数(GCI)が用いられている。GCIは競争力に関する3つのサブインデックス(12分野、110項目)をもとに設計されており、世界の国々のすべての発展段階における競争力の全体像を示す。

 3つのサブインデックスとは基礎的指標、効率性強化指標、革新と洗練性指標である。基礎的指標は制度機構、インフラ、マクロ経済環境、保健および初等教 育という4分野、効率性強化指標は高等教育および訓練、商品市場効率、労働市場効率、金融市場の高度化、技術的即応性、市場規模という6分野、革新と洗練性指標はビジネスの高度化、事業革新という2分野で構成されている。

 最新版における競争力第1位はスイス(昨年1位)、2位シンガポール(同2位)でトップ2は昨年と同じ。以下、3位米国(同5位)、4位フィンランド (同3位)、5位ドイツ(同4位)、6位日本(同9位)、7位香港(同7位)、8位オランダ(同8位)、9位英国(同10位)、10位スエーデン(同6 位)と続く。日本は自民党政府の改革路線経済政策などが評価されたことで3ランクの上昇となった。

 最下位である144位にはギニア、143位にはチャドがランクされた。債務問題がやや緩和されてきたギリシャは81位で、昨年の91位、一昨年の96位からランクを急上昇させている。

 30位以内にランクされたアジア勢は、ベスト10入りの日本、シンガポール、香港のほか、14位の台湾(同12位)、20位のマレーシア(同24位)、26位の韓国(同25位)、28位の中国(同29位)である

 ASEAN諸国は、上記のように2位のシンガポール、20位 のマレーシアのほか、31位にタイ(同37位)、34位にインドネシア(同38位)、52位にフィリピン(同59位)、68位にベトナム(同70位)、 93位にラオス(同81位)、134位にミャンマー(同139位)、136位に東ティモール(同138位)と続く。

 フィリピンの総合順位52位は、昨年の59位、一昨年の65位、3年前の75位、アキノ政権発足の2010年の85位から急上昇となっている。すなわち、5年間で33ランクの上昇となっている。官邸や経済閣僚らは、「アキノ政権が推進してきた改革や汚職・不正防止努力の成果である」と自賛した。

 フィリピンのサブ・インデックス順位は、基礎的指標が66位(制度機構67位、インフラ91位、マクロ経済環境26位、保健および初等教育92位)。効率性強化指標は58位(高等教育および研修64位、商品市場効率70位、労働市場効率91位、金融市場の高度化49位、技術的即応性69位、市場規模35位)。革新と洗練性指標は48位(ビジネスの高度化46位、技術革新52位)。マクロ経済環境や市場規模で比較的高い評価を受けている。

 個別分野別では、固定回線電話普及率113位、航空輸送インフラの質108位、港湾インフラの質101位、結核感染件数(10万人基準)127位、寿命 101位、投資家保護105位、警察の信頼性101位、テロ対策費の軽さ110位、起業手続きの容易さ141位、企業開始までの時間的容易さ119位など が特に厳しい評価となっている(14年9月3日の世界経済フォーラム発表より)。