ジョリビーフーズ、システム障害で72店の臨時休業続く

2014/08/10

国内店の3%、新経営体制スタートでのつまずき

 

フィリピンでは、ハンバーガーのジョリビーが、国民食とまで称されるほどの圧倒的な支持を得ている。マクドナルドがハンバーガー市場でトップになれない唯一の主要国がフィリピンでもある。ジョリビーのフィリピンでの外食ハンバーガー市場でのシェアは50%と推定される。2014年3月末のフィリピン国内店舗数もジョリビーが828店(6月末では839店)で、フィリピン・マクドナルドの412店の2倍強に達している。

 

 このジョリビーは、フィリピン最大のファストフード企業ジョリビー・フーズ(JFC)によって運営されている。ジョリビーのほか、中華のチャウキン、ピザのグリーンウイッチ、ケーキ・ベーカリーのレッドリボンなどを含むJFCの国内総店舗数は、2014年6月末時点で2,244店に達している。

 このJFCは更なる事業基盤強化や効率化のために、8月1日から新ITシステムを導入したが、大規模障害が発生し業務遂行に大きな支障をもたらした。その結果、ジョリビーを含むJFC72店が8月1日から臨時休業に追い込まれた。また、多くの店舗において、提供メニューの削減を強いられた。8月8日時点でも事態はあまり改善されていないようである。

 臨時休業を余儀なくされている72店はJFC国内総店舗数の3.2%に相当する。JFCは8月8日に「72店の臨時休業などにもかかわらず、8月第1週のJFCの全既存店の売上高は前年同期比4%増加した。数日内に臨時休業の72店が再開されるとともに全店舗での提供メニューも正常化する見込み」とコメントしたが、下記のような新経営体制スタートにおいて大きなつまずきが生じたと言えよう。
 
 JFCは今年6月末まで会長兼社長兼CEOであったトニー・タ ン・カクティオン氏(トニー・タン氏)がアイスクリーム販売で起業、1978年1月にJFCを創設、一代でフィリピン最大のファーストフード・ チェーンに育て上げた。そして、1993年7月にはフィリピン取引所(PSE)へ上場させるに至った。

 このトニー・タン氏が、6月30日付けで社長とCEO職から退任した。トニー・タン氏は7月以降も会長職にはとどまっているが、新社長兼CEOとして、 弟のアーネスト・タンマンティオン氏(56歳)が選出された。タンマンティオン氏は、1978年、JFCのストア・マネージャーとして入社、その後、 JFCの多くのブランドを育て上げ、ついに社長兼CEOに上りつめることになった(14年8月8日のフィリピン証券取引所回覧04307-2014号などより)。