日系企業のフィリピン進出・提携、4月~6月は18件

2014/07/16

タイ74件で首位、ベトナム56件、インドネシア56件
カンボジア38件:プログレス&パートナーズ調査

  コンサルティングと調査業務を展開するプログレス・アンド・パートナーズ(本社:東京)は、提供商品である日系企業の動向情報を「蓄積型」表形式のデータファイルとして提供する経済レポート『経済ReleaseWatch@東南アジア版』 (http://www.progressap.com/economy/)を発行するにあたり、収集した日次データーの集計をもとに2014年度第1四半期(2014年4月~6月)の日系企業の東南アジア諸国への設立・進出・提携活動集計報告のサマリーを発表した。その概要は次のとおり(以下、ほぼプログレス・アンド・パートナーズ発表分のまま)



<調査項目>
 2014年度第1四半期(2014/03/29~2014/06/27間の集計)の東南アジア各国への日系企業動向(ASEAN 企業動向として収集した案件2,393件)より、「法人の設立」、「現地への進出」、「現地企業との提携」に関する件数を独自に集計した。調査該当国は東南アジア9カ国(ブルネイは除く)である。

<集計結果>
 前四半期(2014年4~6月)の3ヵ月間を対象とした独自調査による集計の結果、日系企業の「法人設立」、「進出」、「提携」と判断できる活動の合計が、ASEAN9ヶ国合計で347件となった。
 
 

 国別の集計では、タイが74件でトップ。以下、ベトナムとインドネシアが56件、シンガポール50件、カンボジア38件、ミャンマーとマレーシアが25件、フィリピン18件、ラオス5件と続く。1位だったタイは、「法人設立」が域内1位となった。当期の特徴としては、イオンモール・プノンペンの開店に伴い初進出案件が多数あったカンボジアの設立件数が31件と前四半期の7件から急増していることが挙げられる。
 
 

 業種(東京証券取引所33業種分類に準ずる)別の集計では、サービス業が最も多く、次いで小売業、卸売業、情報・通信業、電気機器となっています。電気機器とその次点の輸送用機器では差が10件以上あり、上位群が頭ひとつ抜けた状況となった。
 
 

 この3ヵ月で注目したい動向としては、シンガポール等にASEAN~アジア大洋州の地域統括拠点を設立する動きが挙げられる。集計データーから「統括拠点」に関するものを抽出すると、シンガポール(日立製作所、出光興産等)で18件、タイ(いすゞ自動車等)で2件のニュースが該当した。内容は既存組織を統括拠点とするものや、別途統括法人を設立するもの等、各社で対応が様々となっている。大手企業を中心としたASEAN事業の体制強化は、中堅・中小企業のASEAN進出をさらに誘引する要素となると考えられる。
 
 

自動車業界の動向では、タイ販売の大幅な落ち込みによる目標の下方修正とインドネシアでの各社の強気姿勢のコントラストが目に付く四半期であった。タイでの製造に関しては、マツダの同国のエコカー優遇制度参加や日産のピックアップトラック生産の世界拠点化などのニュースが散見された一方、ホンダは新工場の稼動延期を発表している。難しい舵取りを求められているが、タイは「大変重要な拠点なので、これからも今までと変わることなくビジネスをやっていく(トヨタ小平副社長)」のは各社共通のことだと思われる(14年7月16日の株式会社プログレス・アンド・パートナーズ発表より)。