日本、フィリピン中央銀行のリスク管理に大きく貢献

2014/07/09

 

 国際通貨基金(IMF)は、7月8日に、「IMFを通じた日本の技術支援活動に関する年次報告書」2013年度版を発表した。

それによると、技術知識とベスト・プラクティス(最善慣行)の移転である能力開発(CD)は、サーベイランス(政策監視)と融資に並ぶIMFの中核的活動である。CDは技術支援(TA)と研修という2要素から成り立っており、IMFはこれを活用し、持続可能な経済成長を促す政策の策定及び運営の能力構築に 努める加盟国を支援している。

 1990年以降、日本が資金を拠出するIMFのCDは、マクロ経済プログラムや構造調整プログラムの策定、実施、継続のための能力の構築に取り組む IMF加盟国を支援してきた。日本は、単独としては最大のIMFのCD活動の資金拠出国であり、二つの奨学金プログラムと東京のアジア太平洋地域事務所 (OAP)の活動資金も拠出している。

 1990年度以降の日本のIMFへの拠出額は約4億6,400万ドルに達する。そのうち約3億9,700万ドルが能力開発(CD)プロジェクトとアジア 太平洋地域事務所に、6,700万ドルが「日本-IMFアジア奨学金プログラム」及び「博士号取得のための日本-IMF奨学金プログラム」という二つの奨 学金プログラムに割り振られた。過去3年間の日本の年間拠出額は平均で3,000万ドルとなっている。

 この事例の一つとして、フィリピン中央銀行のリスク管理能力支援、が挙げられている。その概要は以下のとおり。

 『フィリピン中央銀行(BSP)は、バーゼル・コア・プリンシプルをはじめとする国際基準に準拠したリスクに焦点を絞った監督手法の導入を進めるなか、 日本の資金拠出を受けたTAから大きな利益を得ている。
 BSPは2005年にバーゼルIIを導入し、2011年に第2の柱(Pillar 2)の実施を開始した。2009年末の金融セクター評価プログラムは、銀行監督の面で大きく前進したと評価した一方で、PCA規則及び銀行の再生と破綻処 理の手順を強化する必要があると指摘した。BSPが2006年にPCA枠組みを導入してから、190以上の銀行を整理したした。

 2010~2011年、BSPは問題を抱えた機関の残務処理を実施しこれを強化するための取り組みに一段と協調して取り組んだ。2011年8月には業務 停止命令に関する政策を承認し、2011年10月、BSPは内部向け手続手引を作成した。IMFはTAを通しBSPの3主要イニシアティブを支援した。
・小規模な地方銀行や協同組織金融機関を主とした600の金融機関に対する監督の効率化に向け、オフサイト・リスクプロファイリング・システム(シンプル なスクリーンベースのアプローチ)を2011年に導入
・是正監督措置に関する総合的な指針を提供するための実施ガイドラン案の作成
・迅速な破たん処理のための現行の法的措置を重視しながらも、管理プロセスの効率化ための措置を重視するため、現行のPCA枠組みを見直す

 フィリピン当局は日本の継続的な支援により達成された数多くの成果に満足している』

(14年7月8日の国際通貨基金発表より)。