SDA金利引上げ、3回連続の引き締め策
2014/06/19
政策金利は据え置き:19日の金融定例会議
中央銀行がインフレ予想上方修正も目標内
中央銀行(BSP)は、6月19日(木)に、2014年4回目の金融委員会(MB)定例会議を開催した。
このMB定例会議において、主要政策金利である翌日物金利は、13回連続での据え置きが決定された。これにより、翌日物借入金利3.50%、翌日物貸出金利5.50%という史上最低が継続されることとなった。
5月の総合消費者物価上昇率(インフレ率、2006年=100)が前年同月比4.5%(速報値)となり、前月から0.4%ポイント上昇、2011年11月(4.7%)以来30カ月ぶりの高水準となったことで、今回のMB定例会議の動向が注目されていた。しかし、現時点では、2014年、2015年ともに 政府のインフレ目標圏内(下表参照)におさまりそうなこと、第1四半期GDP成長率が9四半期ぶりに6%台割れへと鈍化したことなどを考慮、政策金利を据え置くことを決定した。
しかし、インフレ率上昇要因も少なくないこと、マネー・サプライの大幅増加が続き市中流動性が高水準であることから、インフレ予防策として特別預金口座(SDA)金利を0.25%引上げ2.25%とすることが決定された。SDA金利引き上げで、市中流動性一部のSDAへの還流を図る。
なお、前回のMB定例会議まで2回連続で預金準備率の引き上げ(1%ずつ計2%)が行われている。政策金利引き上げにくらべれば緩やかな引き締め措置ではあるが、今回のSDA金利引き上げで3回連続で引き締め策が実施されたことが注目される。不動産バブル懸念も台頭していることから、遠くない時期に政策 金利引き上げが実施されるとの見方も拡がりつつある。
BSPも「引き続き、インフレ抑制のために物価や需要動向を注視していく。必要ならば、さらなる金融政策変更の用意はある」と表明した 。
なお、BSPは2014年のインフレ率予想を4.3%から4.4%へ、2015年については3.4%から3.7%へと上方修正したが、依然、政府のインフレ目標の範囲内である(14年6月19日のフィリピン中央銀行発表などより)。
政府のインフレ率目標と実績の推移(過去実績は2000年基準値)
2008年 | 2009年 | 2010年 | 2011年 | 2012~14年 | 2015~16年 | |
インフレ目標 | 3.0~5.0% | 2.5~4.5% | 3.5~5.5% | 3.0~5.0% | 3.0~5.0% | 2.0~4.0% |
インフレ率実績 | 9.3% | 3.2% | 3.8% | 4.4% | - |