ジョリビー首位の座強固、マクドナルドを圧倒

2014/06/18

3月末店舗数:828店VS412店で差を広げる

 

 フィリピンでは、ハンバーガーのジョリビーが、国民食とまで称されるほどの圧倒的な支持を得ている。マクドナルドがハンバーガー市場でトップになれない唯一の主要国がフィリピンでもある。ジョリビーのシェアは約50%と見られる。

 ジョリビーはフィリピン最大のファストフード企業ジョリビー・フーズ(JFC)によって運営されている。2014年3月末のJFCのフィリピン国内店舗 数は2,217店に達している。内訳はハンバーガーのジョリビー828店、中華のチャウキン405店、ピザのグリーンウイッチ202店、ケーキ・ベーカ リーのレッドリボン287店、鶏肉・バーべキューのマン・イナサル460店、バーガー・キング35店となっている。海外店舗数は588店舗で総店舗数は 2,805店舗である。

 一方、フィリピンのマクドナルド・チェーンは、当地の有力持株会社アライアンス・グローバル・グループ(AGI)子会社のゴールデンアーチス・デベ ロップメント傘下のマクドナルド・フィリピンによって展開されている。積極店舗展開によりジョリビーを追撃する意向であるが、ジョリビーとの差がなかなか縮小しない状況が続いている。

 マクドナルド・フィリピンの2014年3月末の店舗数は412店で、前年同月末の375店から37店増加した。一方、フィリピン国内のジョリビー店舗数は828店で、前年同月末の783店から45店増加した。ジョリビーの店舗数は、マクドナルド・フィリピンの2倍強であり、その差は拡大している。JFC グループ入りしたバーガー・キング35店を加えれば、その差はさらに拡大する。

 フィリピンにおいて、ジョリビーがマクドナルドを圧倒している理由は、フィリピン人の食習慣や嗜好を的確に把握したメニューを開発、提供していることである。まず、フィリピン人は甘い味付けを好むが、ハンバーガーのドレッシング、スパゲティー類などは、マクドナルドよりかなり甘い。外国人には甘すぎる味付けと感じられるが、フィリピン人には、基本的には、味や規格が世界標準で統一されたマクドナルドのメニューよりは遥かに好まれていると思われる。マクド ナルドも、一部ローカル好みのメニユーを取り入れるようになってはいるが、フィリピンの大衆を虜にするには至っていない。
 
 また、フィリピン人はコメが大好きで三食ともに米食というパターンが多い。また、ファースト・フードレストランといえども、スナックではなく本格的な食事を好む消費者が多い。そこで、ジョリビーはライス付きの割安なセットメニューを数多く用意し、コメ好きのフィリピン人の心をしっかり捉えている。

 食の基本である味付けでは、フィリピン人の嗜好を徹底的に重視する一方で、セントラル・キッチンの高度活用、店舗スタッフの作業や顧客対応などは米国方式のマニュアルに沿うなど効率性を追求していることもジョリビーの強かさであるといえよう。
 
 さらに、子供達の誕生パーティーなどイベント会場を提供、宅配、海外フィリピン人就労者(OFW)から留守宅や知人・友人へのプレゼント宅配、グループ 内異業種チェーンとのシナジー効果最大化、海外展開拡充、蜜蜂を模したマスコットフル活用などのマーケティング戦略強化に余念がないことも成功につながっている(ジョリビーフーズとアライアンス・グローバル・グループの2014年第1四半期報告書などより)。