住友鉱出資のニッケル・アジア、6倍増益に

2014/05/07

ミンダナオ・タガニート鉱山戦力化や評価益等で

 

 有力ニッケル鉱山会社であるニッケル・アジア・コーポレーション社(ナック社)が、5月6日に、2014年度(1月~3月)の決算速報を発表した。

 それによると、第1四半期の鉱石出荷量は同52%増265万トンへと急増した。出荷量急増は、2013年後半からミンダナオ島タガニート鉱山の操業が開始されたこと、ニッケル有力産出国のインドネシアが、2014年年初に未加工の鉱石輸出禁止措置を発動したことなどによるものと見られる。

 インドネシアの輸出禁止措置やウクライナ騒動などにより、最近のニッケル市況は昨年下半期からは反発傾向にあるが、昨年第1四半期との比較では低水準で推移した。したがって、鉱石出荷額は前年同期比19%増の15億 2,796万ペソと二桁増加ながら、数量の伸びとくらべると低い伸びであった。そして、営業収入は同21%増の16億9,702万ペソとなった。

 二桁増収効果にくわえ、一時的利益(関連会社株式再評価益)4億1,660万ペソの計上などにより、報告純利益は同4.7倍の10億3,364万ペソへ、帰属純利益は同5.9倍の5億9,373万ペソへと急増した。一時的利益を除いた帰属純利益も1億7,710万ペソで前年同期比77%増である。

 今後もタガニート鉱山の本格寄与、インドネシアの輸出禁止措置などによる市況反発効果の一層の顕在化などで、ナック社の業績は順調に推移しそうである。

 なお、ナック社は世界有数のニッケル資源国であるフィリピンにおいて、最大規模のニッケル鉱石生産を行う鉱山会社である。そして、住友金属鉱山の重要な戦略パートナーである。ナック社傘下には、住友金属鉱山のフィリピン子会社であるコーラルベイ・ニッケル社(CBNC)へ出資するとともにニッケル鉱石を供給しているリオツバ・ニッケル・マイニング社がある。

 住友金属鉱山は2009年8月にナック社に資本参加した。2013年12月末時点で、100%子会社である住友金属鉱山フィリピン・ホールディングス(SMMPH)を通じて、ナック社株式約19.12%(個別株主名が明示されている分)を保有している(14年5月6日のフィリピン証券取引所回覧02237-2014号などより)。