JICA、フィリピン沿岸警備隊へ無償援助

2014/04/30

衛星通信や船舶航行管理システムに11.5億円
海上安全向上への多面的な継続支援の一環

 

国際協力機構(JICA)は、4月30日、フィリピン沿岸警備隊(PCG)の沿岸警備通信システム強化支援のため、11億5,200万円の無償援助を行うと発表した。

11億5,200万円は移動体衛星通信システム 船舶航行監視システム(VTMS)などシステム整備に充当される。具体的には、PCGの主要運用船舶及び新設管区本部(ルソン北東,ビサヤ東)等と本庁間の通信システム整備、及びセブ港周辺海域のVTMSの構築を行うことにより、海上安全確保における対応能力の向上を図る。これにより、フィリピン政府が進めている海上運輸交通の強化に貢献するとともに、る投資環境整備を通じて日本企業のフィリピンへの進出促進が期待される。

  フィリピンは7,000を超える島々と世界第5位(約3万6,000キロメートル)の海岸線を有する島嶼国家であり、海上輸送は経済・社会発展に とって大きな役割を担っている。他方、島嶼間の旅客・貨物輸送の増加に加え、船舶の老朽化や過剰積載等の不適切な運航、さらに近年増加する自然災害の影響 等により海難事故のリスクが高まっている。また、人や物の移動の活発化に伴い、海上犯罪のリスクも近年増加しており、密輸、密漁、銃器不法所持、テロ等の脅威に対処するための取り締まり強化が重要な課題の一つとなっている。したがって、PCGの海上安全対応能力強化は非常に重要であるといえる。

 JICAのPCGへの協力は1990年にJICAから専門家を派遣したことを皮切りに、円借款、無償資金協力および技術協力と、3スキーム一体となって航路の安全確保や海難救助など様々な分野を支援してきた。具体的には、救助装置、訓練装置、通信システムなどの供与、海上保安教育・人材育成管理システム開発や業務遂行能力向上支援などである。
 昨年12月には、フィリピン政府との間で、「フィリピン沿岸警備隊海上安全対応能力強化事業」を対象として、187億3,200万円を限度とする円借款貸付契約に調印した。これは、PCGが船舶を調達するための資金協力を行うことにより、沿岸域内での海難救助や海上法執行等の業務を迅速かつ適切に実施するための能力向上を図り、海上安全を向上させるものである。

 このように、JICAはフィリピンの海上安全向上のため多面的かつ継続的な支援を行ってきている(14年4月30日の国際協力機構プレスリリースなどより)。