ユニバーサルEのカジノ提携交渉、またも破談

2014/03/28

相手のセンチュリー・プロパティー訴訟も視野に

 

 カジノ・娯楽関連企業であるユニバーサルエンターテインメント(旧社名アルゼ、ジャスダック上場、以下UE社)のフィリピン・カジノ・リゾート事業との提携交渉がまたも破談となった。

 フィリピン政府は、国家プロジェクトとして観光事業を強力に推進すること を目的に、マ二ラ湾岸沿いに「マニラベイ・エンターテインメントシティー」を創設しつつある。そして、3月16日にオープンした「ソレア・リゾート&カジ ノ」(ソレア、ブルームベリー・リゾーツ社が開発・運営)のほか、UEなど4グループの大型カジノ・リゾートプロジェクトが進行しつつある。

 UE社グループのプロジェクトは『マニラベイ・リゾーツ』と称され、世界最大規模のカジノ施設を含む豪華ホテルや高級レストラン、商業施設、バジェットホテル、コンドミニアム、世界最大級の噴水やビーチクラブを兼備した一大複合リゾート開発が計画されている。

 UE社グループは、2008年7月にプロジェクト用地取得、2008年8月に暫定カジノ・ライセンス取得などの準備を進めてきた。しかし、「この事業 における用地取得は外資規制に違反している」、あるいは「認可プロセスなどにおいてフィリピン賭博公社の当時のトップなどに巨額の不正資金が流れた」などとの多くの報道が行われ、米国やフィリピン当局が捜査に着手するに至っている。

 このような状況下において、UE社は11月1日に、「海外子会社の一つで、フィリピンにおいてカジノ・リゾート用地を所有するイーグル1ランド・ホールディングス(イーグル1)が、センチュリー・プロパティー・グループ(センチュリー)、及びファースト・パラマウント・ホールディングス888(ファース ト・パラマウント)のフィリピン2社に対して、7億2,000万株の議決権付き優先株を発行する契約を締結した」と発表した。センチュリーには4億3,200万株、、ファースト・パラマウントには2億8,800万株が発行される予定であった。

 UE社によると、今回の契約に基づき議決権優先株が発行されると、イーグル1の60%超がフィリピン企業によって保有されることになり、60%以上を フィリピン人・企業が保有しなければならないという土地保有に関する要請に対して、より好ましい状況となるとのことでもあった。

 契約の一部として、イーグル1は、センチュリーとの間で、44ヘクタールの『マニラベイ・リゾーツ』の中の5ヘクタールの用地における住宅及びショッピ ングセンターの開発契約を締結することで合意した。センチュリーは、著名建築家と協業し、マニラ首都圏におけるトランプ・タワー、世界初のフォーブス・オ フィス・タワー、ベルサーチやミッソーニブランドのコンドミニアムなどハイエンド不動産の開発に特化した有力不動産企業である。

 この、センチュリーが、3月26日に、「UE社側から交渉打ち切りの通告を受けた。この通告は、合意された交渉プロセスを逸脱したものである。この合意プロセスを逸脱した通告に対しては法的措置での対抗も辞さない」と発表した。

 なお、UE社はこれまで同様な提携交渉を、ロビンソンズ・ランド、エンパイア・イースというフィリピンの有力不動産企業を行ったが、いずれも破談となっ た。今回のセンチュリーとの提携交渉も破談になりつつあることから、UE社のカジノ・リゾート事業の先行きの見通しが一段と暗くなった感がある(14年3月27日のフィリピン証券取引所回覧1417-2014号などより)。