フィリピン向け日本産牛肉の輸出解禁

2014/03/11

2004年6月以降、日本の農林水産省は厚生労働省と連携して、フィリピン政府当局との間において、牛肉輸出解禁のための検疫協議を進めてきた。



 こにほど、二国間の検疫協議が全て終了し、日本からの牛肉輸出が認められることとなった。このため、フィリピン向け輸出施設を管轄する地方自治体及び動物検疫所において、輸出に必要な衛生証明書の発行を開始する(今後、地方自治体及び動物検疫所に通知された後、実際の輸出が可能となる)。


<主な輸出条件>
・特定危険部位(SRM)を含まないこと。
・ピッシングや、圧縮空気もしくはガスを頭蓋腔に注入する機器を用いたスタンニング(気絶処理)を行わないこと。
・フィリピン向け輸出施設で処理されること。
・月齢制限はなし。

 ピッシングとは、と畜場で処理する際に、失神させた牛の頭部にワイヤ状の器具を挿入して脳神経組織を破壊する作業のことである。この作業を行わないと、解体作業中に牛の脚が激しく動いて現場職員がけがをする危険性があった。
 一方、ピッシングにより、急激な心臓の収縮が起こり、その結果、脳・せき髄の組織が、血流を介して食肉及びと畜場内の施設を汚染する可能性が指摘されていた。2005年5月に、食品安全委員会は「食肉のBSEリスクをさらに低減させるため、ピッシングの中止に向けて、できる限り速やかに進める必要がある」との見解を示した。この見解に基づき、厚生労働省を通じて各自治体でピッシングの中止に向け取り組んだ結果、全国のと畜場でピッシングを中止する見通しが立ち、2009年4月1日にと畜場法施行規則が一部改正され、ピッシングが禁止となった。

<フィリピン向け輸出施設>
・飛騨食肉センター/飛騨ミート農業協同組合連合会(岐阜県)
・滋賀食肉センター(滋賀県)
・株式会社ミヤチク都農工場(宮崎県)
・南九州畜産興業株式会社(鹿児島県)
・株式会社阿久根食肉流通センター/スターゼンミートプロセッサー株式会社
・阿久根工場(鹿児島県)
(14年3月11日の日本農林水産省発表より)。