丸紅、リマ工業団地から資本撤退

2014/02/22

リマ・ランド社株式40%を売却
アボイティスが100%を支配

 

多くの日系有力企業が進出しているリマ工業団地から丸紅が資本撤退した。

 

 このリマ工業団地の開発主体はリマ・ランド社(LLI)である。 昨年9月までのLLI出資比率は丸紅40%、アルソンズランド社60%であった。なお、アルソンズランド社は、トーマス・アルカンタラ氏率いるアルソンズ・コンソリデイティド・リソース(ACR)の傘下企業である。

 昨年10月に、有力コングロマリットであるアボイティス・エクイティー・ベンチャー(AEV)が、子会社アボイティス・ランド社を通じて、LLIに出資した。具体的には、アボイティス・ランド社が、アルソンズランド社の保有していたLLI株式60%を取得した。AEVグループによる取得総額は約13億6,432万ペソであった。これには、電力企業リマ・ユーティリティーズと水道企業リマ・ウオーターの取得も含まれている。

 そして、AEVは2月21日に、「アボイティス・ランド社が、丸紅からLLI株式40%を取得した。これにより、アボイティス・ランド社のLLI保有比率は100%となった」と発表した。丸紅はLLI、すなわちリマ工業団地から資本撤退したことになる、

  なお、リマ工業団地(リマ・テクノロジー・センター)は、フィリピン政府が重点工業地域と指定しているカラバルソン・エリアのほぼ中心バタンガス州に位置し、マニラ首都圏とバタンガス港を結ぶ高速道路に近接する将来性豊かな地域に位置している。

 工業団地を核とした商業施設・住宅開発を併せ持つ「総合都市開発」をコンセプトとし、96年に着工、現在27社の企業が入居・操業中である。 そして、230万人を擁するバタンガス州中部のリパ・マルバル市に位置し、近接の大学・専門学校から優秀な人材の確保が容易である。工業団地内にはサービスアパート「リマパークホテル」が開業し、日本食レストラン、銀行、住宅地が併設されており、短期宿泊から長期滞在まで利用できる。

 現在、セイコーエプソン、ヤマハ発動機、矢崎総業、東ソー、日立電線、JFE商事、ミツバ、ジェイテクト、第一精工、日新運輸、創美工芸などの有力日系企業のフィリピン拠点が数多く進出している。また、バンダイも進出した。

 なお、アボイティス・ランド社はすでに、セブ州において、ラプラプ市のマクタン経済区Ⅱ、セブ市の西セブ工業団地という2つの経済区を開発・運営している。したがって、リマ工業団地は同社運営の3番目の経済区となった(14年2月21日のフィリピン証券取引所回覧0736-2014号などより)