1月のインフレ率4.2%、2年ぶりの高水準

2014/02/05

悪天候による食品価格上昇が響く
寄与度:食料2.1%、酒類・煙草0.4%

 

 フィリピン国家統計局(NSO)は2月5日、2014年1月の消費者物価動向を発表した。


 1月の総合消費者物価上昇率(インフレ率、2006年=100)は前年同月比4.2%(速報値)となり、前月から0.1%ポイント上昇した。

 1月のインフレ率はフィリピン中央銀行(BSP)の直前予想圏内(3.4~4.3%)にとどまると共に、政府の2014年インフレ目標圏内 (3.0~5.0%)におさまったが、2011年12月の4.2%以来2年ぶりの高水準となった。悪天候で生産活動や出荷に支障の出たコメ、野菜、魚・肉 類、乳製品、油脂、砂糖など主要食品の価格上昇がインフレ率上昇に影響を及ぼした。一方、コアインフレ率(特定食品及びエネルギー関連品目を除く)は3.2%で前月から変わらず。 

 1月のマニラ首都圏(地域別構成比30.006%)の総合インフレ率は 2.7%で前月(2.6%)から0.1%ポイント上昇。また、首都圏以外の地方(地域別構成比 69.994%)の総合インフレ率は前月から横ばいの4.6%となった。首都圏、地方共に、食品・非アルコール飲料、衣料・靴類、住宅・光熱・燃料、家庭用品・営繕、健康・医療費などの物価上昇が影響した。


消費者物価上昇率(インフレ率:2006年基準の前年同月比%)

項目 14年1月 13年12月
全国    総合インフレ率 4.2 4.1
 コアインフレ率 3.2 3.2
首都圏  総合インフレ率 2.7 2.6
地方    総合インフレ率 4.6 4.6

(出所:フィリピン国家統計局資料より作成)


総合消費者物価上昇率年平均(2006年基準、前年同月比%)

2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年
平均インフレ率 8.3 4.2 3.8 4.6 3.2 3.0

(出所:フィリピン国家統計局資料より作成)


政府のインフレ率目標と実績の推移(過去実績はその目標設定時の2000年基準値)

2008年 2009年 2010年 2011年 2012~14年 2015~16年
インフレ目標 3.0~5.0% 2.5~4.5% 3.5~5.5% 3.0~5.0% 3.0~5.0% 2.0~4.0%
インフレ率実績 9.3% 3.2% 3.8% 4.4% - -

(出所:フィリピン中央銀行資料より作成)


総合消費者物価上昇率(2006年基準、前年同月比%)

項目 年間 13年 14年
13年 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月
総合 3.0 3.1 3.4 3.2 2.6 2.6 2.7 2.5 2.1 2.7 2.9 3.3 4.1 4.2
食料・非アルコール飲料 2.8 2.4 3.1 2.8 2.2 2.5 2.3 2.3 1.8 2.5 3.2 3.9 4.8 5.5
酒類・煙草 29.8 17.3 29.0 31.5 31.4 31.1 31.2 31.1 31.0 31.2 31.0 30.7 30.9 17.6
衣料・靴類 3.6 4.9 4.8 4.9 4.2 3.5 3.3 3.1 3.0 2.9 3.0 2.9 3.1 3.4
住宅・光熱・燃料 1.7 3.7 2.6 2.1 1.3 1.5 1.4 0.6 -0.3 1.1 0.8 1.9 3.5 3.5
家庭用品・営繕 3.3 4.9 5.0 4.7 4.0 3.7 3.3 2.9 2.4 2.3 2.2 2.3 2.4 2.6
健康・医療 3.0 3.7 3.6 3.6 3.4 3.0 2.6 2.6 2.6 2.7 2.5 2.5 2.9 3.2
交通・輸送 0.6 1.1 1.0 0.6 -0.7 -0.5 0.7 1.6 1.0 0.6 0.5 0.7 1.2 1.2
通信 0.2 0.5 0.7 0.5 0.3 0.1 0.1 0.1 0.1 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0
娯楽・文化 2.3 2.0 2.2 2.3 1.8 1.7 2.7 2.5 2.5 2.5 2.5 2.5 2.4 2.5
教育 4.5 4.4 4.4 4.4 4.4 4.4 4.5 4.7 4.7 4.7 4.7 4.7 4.7 4.7
外食・サービス他 2.4 2.8 2.8 2.9 2.7 2.3 2.1 2.0 2.2 2.2 2.2 2.1 2.3 2.2
首都圏 1.6 2.4 2.3 1.9 1.7 1.8 1.6 1.0 -0.1 1.1 1.1 1.9 2.6 2.7
 地方 3.3 3.4 3.7 3.5 2.9 2.9 3.0 2.9 2.7 3.1 3.4 3.8 4.6 4.6

(注:一部は改定値)


食料品物価上昇率(2006年基準、前年同月比%)

項目 食料 コーン 果物 野菜 肉類 魚類 乳製品・卵 油・油脂 パン・シリアル 砂糖・菓子類 その他食品
13/1月 2.3 1.7 5.0 5.6 -3.6 1.7 5.2 3.1 -5.6 2.6 2.5 2.7
2月 3.0 1.9 5.9 5.1 1.4 1.9 5.8 2.9 -5.9 2.7 3.4 3.3
3月 2.8 1.6 5.7 4.2 3.2 1.8 4.9 2.8 -5.9 2.5 3.4 3.3
4月 2.1 1.4 5.3 5.0 3.5 2.0 2.1 2.3 -6.9 2.1 1.9 2.1
5月 2.4 1.5 5.7 5.2 4.8 2.4 2.6 2.1 -7.5 2.1 0.7 2.0
6月 2.3 1.8 3.8 4.6 5.5 2.2 2.6 1.7 -7.8 2.2 0.1 2.7
7月 2.3 2.4 3.6 4.9 4.3 2.1 2.6 1.7 -7.6 2.5 -2.8 3.1
8月 1.8 3.9 3.6 4.3 -2.6 2.0 1.4 1.7 -7.3 3.6 -4.1 2.8
9月 2.5 7.1 3.9 3.8 -3.7 2.0 1.5 1.7 -6.8 6.0 -4.2 3.3
10月 3.4 7.8 3.7 3.8 1.2 2.2 2.5 1.6 -5.6 6.4 -4.0 3.4
11月 4.0 8.1 3.6 3.9 5.4 2.2 3.1 1.5 -4.5 6.6 -2.7 3.3
12月 5.0 9.2 3.8 4.3 9.8 2.3 3.3 1.7 -1.9 7.4 0.1 3.6
14/1月 5.7 10.0 3.3 4.2 12.1 2.6 4.3 2.0 0.4 8.0 2.0 3.8

(出所:フィリピン国家統計局資料より作成)


 なお、中央銀行(BSP)発表によると、2014年1月の総合インフレ率(2006年=100)4.2%への寄与度は、食料・非アルコール飲料2.1%(うち食料2.1%)、酒類・煙草0.4%、外食・サービス他0.3%、住宅・光熱・燃料0.8%、教育0.2%、衣料・靴類0.1%など。

 テタンコBSP総裁は、今後も、通貨政策の決定が物価安定の基本方針と一致するよう価格や生産の動向を綿密に監視していく方針を示した(14年2月5日のフィリピン国家統計局と中央銀行発表より)。


14年1月のインフレ率(2006年=100)と寄与度(%)

項目 物価指数
構成比
1月
インフレ率 寄与度
総合 100.00 4.2 4.2
食料・非アルコール飲料 38.98 5.5 2.1
   うち食料のみ 36.29 5.7 2.1
酒類・煙草 2.00 17.6 0.4
衣料・靴類 2.95 3.4 0.1
住宅・光熱・燃料 22.47 3.5 0.8
家庭用品・営繕 3.22 2.6 0.1
健康・医療 2.99 3.2 0.1
交通・輸送 7.81 1.2 0.1
通信 2.26 0.0 0.0
娯楽・文化 1.93 2.5 0.0
教育 3.36 4.7 0.2
外食・サービス他 12.03 2.2 0.3

(出所:フィリピン中央銀行資料より作成)