住友鉱出資のニッケル・アジアに注目が
2014/01/13
インドネシア鉱石禁輸措置で市況上昇期待
昨年の出荷量19%増で史上最高にも好感
フィリピンの有力ニッケル鉱山会社であるニッケル・アジア・コーポレーション社(ナック社)の鉱石出荷量が順調に拡大している。
1月13日に発表された2013年の鉱石出荷量は前年比19%増の1,400万トンで、5年連続で増加、史上最高となった。このうち、41%がリオ・ツバ鉱山から、28%がタガニート鉱山から出荷された。ただし、ニッケル市況下落により、出荷額は前年比7%減の103億ペソにとどまった。
ちなみに、2013年の鉱石出荷量のうち、37%に相当する520万トンがロンドン金属取引所(LME)での国際市況に連動している。LME市況連動分 の1パウンド当たり平均出荷価格は6.91米ドルで、前年の8.10米ドルから14.7%下落した。
一方、中国向けなどの中低位ニッケル鉱石の販売価格はLME市況に連動しておらず交渉ベースで決定される。この交渉ベース販売での1トン当たり出荷価格は20.03米ドルで前年の24.40 米ドルから約17.9%低下した。
このように鉱石出荷量が史上最高となったこと、インドネシアにおいて未加工の鉱石輸出禁止措置が発動されたことにともなうニッケル国際市況上昇観測を背景に、1月13日のフィリピン証券取引所(PSE)でのナック社株価は非常に好調に推移した。高値は前日比7.6%高の17.28ペソ、終値は同5.7%高の16.98ペソへと上昇した。
なお、ナック社は世界有数のニッケル資源国であるフィリピンにおいて、最大規模のニッケル鉱石生産を行う鉱山会社である。そして、住友金属鉱山の重要な 戦略パートナーである。ナック社傘下には、住友金属鉱山のフィリピン子会社であるコーラルベイ・ニッケル社(CBNC)へ出資するとともにニッケル鉱石を 供給しているリオツバ・ニッケル・マイニング社がある。
住友金属鉱山は2009年8月にナック社に資本参加した。2013年9月末時点で、100%子会社である住友金属鉱山フィリピン・ホールディングス (SMMPH)を通じて、ナック社株式約19.12%(個別株主名が明示されている分)を保有している(14年1月13日のフィリピン証券取引所回覧0137-2014号などより)。