今年初の新規上場、惨憺たるスタートに
2014/01/13
サンミゲルの筆頭株主トップ・フロンティア
初日終値は44%下落、一時は54%の急落
1月13日に、サンミゲルの筆頭株主であり、昨年までサンミゲルとの株式持ち合い企業でもあったトップ・フロンティア・インベストメント・ホールディングス(TFHI)が、フィリピン証券取引所(PSE)へ新規上場された。
TFHIの新規上場はイントロダクション(紹介)方式で行われた。 イントロダクション方式とは、新規公募(IPO)を実施しないで、既存株式を直接上場させる方式である。いずれにしても、TFHIのPSE新規上場は2014年の第1号であったが、上場初日の株価は参考基準価格を大幅に下回る結果となった。
TFHIは純資産などから1株当たりのフェア・バリューは約178ペソと試算した。したがって、上場参考基準価格は1株当たり178ペソと設定された。しかし、上場初日の始値は参考基準価格を54.4%も下回る81ペソとなった。この日の高値は104.90ペソ、安値は81ペソ、終値は参考基準価格を44.4%下回る98.95ペソという結果となった。この日の終値をベースにすると時価総額は約593億ペソとなる。
TFHIのPSE上場はやや複雑な経路で行われた。まず、サンミゲルが、2013年11月5日現在の株主に対し現物配当実施を決定した。この現物配当は、サンミゲル普通株式10株に対し、TFHI株式1株を配当するというものである。現物配当分のTFHI普通株式数は約2億3,763万株であり、新年1月2日に該当株主に配布された。
この現物配当によって、TFHIの株主数は急増、PSEの上場基準を満たすことになった。TFHIは2013年10月17日の取締役会において、サンミゲルの現物配当分を含むTFHI株式を、イントロダクション(紹介)方式においてPSEに新規上場させることを決議しており、1月13日の上場に至ったのである。
なお、 TFHIは元貿易産業相のロベルト・オンピン氏傘下の持株会社であり、積極的な投資活動を展開してきている。その投資活動において、サン ミゲルと協調するとともに、昨年まではサンミゲルと株式持ち合いの関係にあった。TFHIはサンミゲルの筆頭株主であると同時に、サンミゲルがTFHIの大株主となっていた。
TFHIのサンミゲル実質保有比率は66%超である。一方、サンミゲルは、昨年までTFHI株式の49.2%を保有していたが、TFHI株式を現物配当として株主に配布したことで、現時点での保有比率は1%以下となったようだ(PSEのIPOメモ、1月13日のPSE取引記録などより)。