エプソン・フィリピン好調、今年度15%増収へ

2014/01/02

現地ニーズ対応機種投入などでシェア拡大

 

セイコーエプソン(以下エプソン、本社:長野県諏訪市)のフィリピンにおける販売・サービス拠点はエプソン・フィリピン(EPC)である。



 EPCは1998年に設立されたが、短期間で10億ペソ企業に成長、現在は77の公認サービスセンター、200超のディーラー、800超以上の取り扱い店を有するに至っている。2008年にはエプソンにおける東南アジア最大級のソリューション・センターを開設している。

 このEPCの売上高が順調に拡大している。これまでも二桁増収が続いてきているが、2013年度(2013年4月~2014年3月)も15%以上の増収となりそうとのことである。好調な売上の大きな要因は現地のニーズに対応した機種の投入を行ってきたことである。フィリピンなど新興成長市場のニーズは欧米を中心とした市場のニーズとは異なる点が数多くある。
 
 新興成長市場の顧客は、機能よりもコストパフォーマンスと耐久性を重視する。そのため、エプソンは東南アジアや中国、南米などでは、それらの市場に特化したインクジェット・プリンターやビジネスモデルを設計し、提供している。価格を重視する顧客向けの大容量インクタンクを備えたインクジェット・プリンターや、ビジネスユーザー向けのモノクロプリンターがその例である。

 フィリピンでも、世界最小かつランニングコストの安いインクジェット・プリンターが販売されている。エプソン・エクスプレッションME-10(単機能プリンター)、ME-101(複合機)、ME-301(WiFi対応複合機)である。これらは、卓上型プリンターでは世界最小のサイズとなっている。ME-10とME-101で使用されるインクカートリッジの価格は黒が185ペソ、その他のカラーが355ペソと低価格であり、ランニングコストの低減に寄与する。

 ちなみに、国際的なハイテク調査会社であるインターナショナル・データ社(IDC)によると、2012年のフィリピンのインクジェット・プリンター販売額において、エプソンのシェアは34.4%で、前年の26.8%から7.6%ポイントの上昇となった。一方、シリアル・インパクト・ドットマトリクス(SIDM)プリンターの販売額シェアは90.3%で、前年の81.7%から8.6%ポイントの上昇となっている。

 なお、フィリピン生産拠点であるエプソンプレシジョン・フィリピン(EPPI)は、2011年末にプロジェクターおよびインクジェットプリンターの新工場を完工、大幅増産体制を整えてきている。エプソンのフィリピンにおける生産、販売双方での事業基盤が強化されているともいえよう。