フィリピン人の広告信頼度、非常に高水準

2013/09/22

テレビ等従来型広告信頼比率、全てASEAN首位
ソーシャルサイトや企業サイト信頼比率も首位
オンライン広告や検索結果広告では第2位に 

 

  世界的な情報・調査企業であるニールセンは、このほど、東南アジア6カ国における広告信頼度調査結果を発表した。


 東南アジア6カ国とは、フィリピン、インドネシア、 マレーシア、 シンガポール、タイ、 ベトナムである。ただし、比較値として、グローバル調査から得られた世界平均値や日本の数値も掲載されている。ニールセンの広告信頼度に関するグローバル調査は、58ヵ国2万9,000人以上のインターネットユーザーを対象に、合計19種類のペイド・メディア(支払いを必要とする有料の公告)、アーンド・メディア(第三者の発言や推奨などを得るソーシャルサイトなど)、オウンド・メディア(企業が自社で所有しているサイト)に対する消費者の信頼度を計測した。

 この調査によると、東南アジア地域の消費者が最も影響を受ける情報ソースは前回(2007年)調査に続き、アーンド・メディア、すなわち家族や友人からの薦めであることが明らかになった。そして、従来型広告への消費者信頼度が依然高いこと、この数年でオンライン広告への信頼が高まりつつあることも判明した。

 東南アジア地域の消費者が最も信頼するのは口コミによる推奨である。アーンド・メディアへの信頼度が最も高い国はフィリピン(2007年度調査から3ポイント増えて89%。世界平均の84%を5ポイント上回る)であった。以下、高い順にマレーシア(同8ポイント増の86%)、シンガポール(同7ポイント増の85%)、インドネシア(同4ポイント減の85%)と続く。東南アジア域内で世界平均を下回ったのは、タイ(同2ポイント減の79%)とベトナム(同2ポイント増の81%)のみであった。日本は79%(同4ポイント増)で、タイと同水準であった。

 一方、従来型広告への信頼度はいまだに高く、テレビ、雑誌、新聞広告は、東南アジアの消費者の間で最も信頼度の高いペイドメディアとしての立場を保ち続けている。テレビ広告を信頼するとの回答比率トップはフィリピンの78%、以下、インドネシア74%、タイ72%、マレーシア70%ち続き、世界平均の62%を大きく上回っている。
 
 新聞広告を信頼するとの回答比率は1位はフィリピン79%、2位インドネシア75%、3位マレーシア72%、4位シンガポールとタイの66%と続く。雑誌広告を信頼するとの回答比率は1位フィリピンとインドネシアの75%、3位マレーシアの68%、4位タイの65%と続く。
 このようにフィリピンでは、テレビ、新聞、雑誌いずれの広告に対する信頼度ともに東南アジアでトップであり、世界平均(テレビ62%、雑誌60%、新聞61%)を大幅に上回っている。ちなみに、日本でも、テレビ広告、新聞広告は世界平均と同等かそれを上回る6割以上の信頼を得ている。

 この6年の間に、東南アジアの消費者の間で最も信頼度が上昇したのはオンライン広告である。登録型電子メールマガジンへの信頼度は、インドネシアの68%(2007年調査比16ポイント増、世界平均を11ポイント上回る)を筆頭に、フィリピン(同1ポイント減の66%)、シンガポール(同9ポイント増の62%)、マレーシア(同11ポイント増の61%)でも高くなっている。

 同様にオンラインバナー広告への信頼度も2007年から上昇しており、地域内のすべての市場で世界平均を上回っている。各国における信頼度はインドネシアで48%(2007年調査比7ポイント増)、タイで47%(同15ポイント増)、フィリピンで46%(同4ポイント増)、マレーシアで44%(同20ポイント増)となっている。

 検索結果広告については、世界平均の48%に対し、インドネシア(57%)、フィリピン(57%)、タイ(56%)、マレーシア(52%)で過半数の消費者が信頼すると回答している。オンライン動画広告も、インドネシア(52%)、フィリピン(51%)、タイ(51%)、マレーシア(50%)ではおよそ半数の消費者が信頼している。

 東南アジアでは、オウンドメディア、すなわち企業が自社で管理するウェブサイトの内容や広告に対する信頼感も2007年調査に比べて上昇している。信頼度はシンガポールを除くすべての国で、世界平均の69%を大きく上回っている。オウンドメディアへの信頼が最も厚いのはフィリピンで、8割を超える消費者(82%)が企業(ブランド)ウェブサイトを信頼すると回答している(2007年から11ポイント上昇)。同様に、タイ(同21ポイント増の76%)、インドネシア(同7ポイント増の75%)、ベトナム(同3ポイント増の75%)、マレーシア(同7ポイント増の72%)でも信頼度が高くなっている。日本は2007年、2013年とも64%であった。

 東南アジアの消費者が最も共感するのは日常生活を描いた広告であった。また、お得感、家族中心、ユーモアや楽しさを取り入れた広告も好感を得ている。ニールセンは「広告が消費者の心に響くかどうかは、その中に購入決定を後押しするような魅力的なメッセージが存在するかで決まる。各国で好みの違いはあるものの、笑いとユーモア、自分に関連付けられる状況、そして家族や健康をテーマにした広告は、東南アジアの消費者の心に響き、最も好意的に受け止められている」と分析している(13年9月19日のニールセン・カンパニー合同会社ニュースリリースなどより)。