全日空、フィリピン航空との提携予備協議を実施
2013/07/08
主要株主のサンミゲル、交渉は事実と発表
7月8日付けフィリピン・インクワイアラー紙が、「海外の有力航空会社がフィリピン航空(PAL)への出資に関心を示している。主要株主のサンミゲルは、フィリピン航空(PAL)経営における、新たな戦略的パートナー候補として、全日空(ANA)やエミレーツ航空などをピックアップ、提携交渉を開始した」と報じた。
この報道の正否を問うフィリピン証券取引所(PSE)に対して、サンミゲルは7月8日に「ANAとは、PALとの提携に関して、予備的な協議を行ってきた。しかし、エミレーツ航空からサンミゲルへの接触はない。提携交渉に関して進展があれば、適切な情報公開を行う」と回答した。
なお、多角化を推進してきたサンミゲルは2012年に、100%子会社であるサンミゲル・エクイティー・インベストメントを通じて、フィリピン航空(PAL)に資本参加した。その結果、現在のPALの出資比率は、フィリピン第2位の富豪であるルシオ・タン氏グループが51%、サンミゲル・グループ49%となっている。そして、サンミゲルのラモン・アン社長がPALの社長も兼任している。
PALは近年、労働問題、コスト増、格安航空会社セブ・パシフィック航空(CEB)などの台頭などにより、経営不振を余儀なくされてきた。しかし、サンミゲルの資本参加などによる経営立て直しに着手、今後は、輸送能力増強、機体新鋭化による競争力強化を目指すとの方針を打ち出し、実際に新鋭機大量発注などを行っている。
一方、ルシオ・タン氏グループも、事業や組織の大規模な再構築を行ってきている。2012年に傘下の洋酒企業タンドゥアイ・ホールディングス(タンドゥアイ)の授権資本の5倍増額、社名のLTグループ社(LTG)への変更を行い、主目的を洋酒醸造関連持株会社からルシオ・タン氏の事業統括持株会社へと変更した。
LTGは、ビールのアジア・ブリュワリー、洋酒のタンドゥアイ、煙草のフォーチュン・タバコ、不動産のイートン・プロパティー、商業銀行フィリピン・ナショナル・バンク(PNB)など、ルシオ・タン氏傘下の多くの企業を統括する。しかし、PALについては、LTGに組み入れないことや、PALやその持株会社PALホールディングスの株式売却を売却を真剣に検討していると正式表明している。
このような状況下で、ルシオ・タン氏グループが保有するPAL株式51%の行方が注目されている(13年7月8日のフィリピン証券取引所回覧5693-2013号などより)。