ムーディーズ、フィリピンをアジアの成長株と評価
2013/04/24
フィッチに次ぐ投資適格への引き上げ期待も
国際的格付機関のフィリピンに対する評価が急速に高まっている。
欧州系の有力格付機関であるフィッチ・レーティングス(フィッチ)は今年3月27日に、フィリピン共和国の格付を引き上げた。フィッチは、フィリピンの長期外貨建て発行体デフォルト格付(IDR)を、これまでの「ダブルB+(BB+)」から、トリプルBマイナス(BBB-)へと一段階引き上げた。格付けアウトルック(見通し)は「ステーブル(安定的)」とされた。
長期外貨建て発行体デフォルト格付(IDR)の「BBB-」という格付は、投資適格という範疇のなかでは最低のランクではあるが、これまで長く続いた投資非適格という範疇から脱出、曲がりなりにも投資適格へと昇格したことを意味する。したがって、フィッチの一段階引き上げは非常に大きな意義とメリットを有しているといえよう。
米国の有力格付け機関であるスタンダード&プアーズ(S&P)とムーディーズ・インベスターズ・サービス(ムーディーズ)のフィリピン格付けは現在、ともに投資適格最低基準の一段階下の投資非適格の範疇である。
ムーディーズは昨年10月29日に、フィリピン格付を「Ba2」から「Ba1」へと引き上げた。ムーディーズの「Ba1」という格付けは、依然として投資非適格の範疇であるが、投資適格最低基準「Baa3」の1段階下の水準である。すなわち、ムーディーズの格付けにおいて、フィリピンは投資適格まであと一歩というところまで辿りついたのである。
4月25日付けフィリピン各紙電子版などによると、ム-ディーズの姉妹会社であるムーディーズ・アナリティクスは、フィリピンのGDP成長率は2013年、2014年ともに6.5~7.0%に達すると予想している。一方、インフレ率は3~5%という政府目標圏に収まる、すなわち低インフレ高成長が続くと見込んでいる。
そして、財政収支改善や政府負債の対GDP比率の縮小、外貨準備増加など負債支払い能力の向上、世界景気鈍化の中での高成長や税収増加などを評価、フィリピンを「アジアのライジング・スター」(アジアの成長株、アジアの新星)と評したとのことである。
このような高評価を受け、近い時期に、ムーディーズがフィッチに次いで、フィリピン格付を1段階引き上げ、投資適格へと昇格させるのではという期待が高まっている