ユニバーサルエンターテインメント、朝日新聞を提訴

2013/03/24

比カジノ事業贈賄報道を名誉・信用毀損として
損害賠償と記事削除・謝罪広告掲載を要求 

 フィリピン・カジノ事業における贈賄疑惑で揺れるユニバーサルエンターテインメント(旧社名アルゼ、ジャスダック上場、以下UE)は、朝日新聞社(朝日)を提訴した。

 UEは、3月22日に「朝日の2012年12月30日朝刊第1面及び第2面、12月31日朝刊第3面、2013年2月8日朝刊第1面及び第3面、さらには朝日のウェブサイト上に掲載されたUE関連記事に基づく一連の報道は、事実誤認に基づく内容が含まれており、UEの社会的評価及び社会的信用が甚だしく損なわれ、名誉及び信用毀損等の損害を被ったため、3月22日、朝日新聞社に対し、損害賠償の一部請求訴訟を提起した」と発表した。

 UEが訴訟を提起した裁判所は東京地方裁判所。訴訟の内容は民法709条、710条に基づく損害賠償の一部請求と民法723条に基づく記事の削除と謝罪広告の掲載である。請求金額は1億円。UEは損害賠償金額総額11億円の一部としている。

 UEは既に、朝日の報道に対して、「公平さや根拠に欠ける報道である。このような言論による暴力に対して、断固たる措置を講じていく所存である」と表明していた。
 また、2012年12月4日にも、トムソン・ロイター社(ロイター)の報道記事によって、名誉または信用毀損等の損害を被ったとして、ロイター並びにその編集者や記者に対し、損害賠償(総額192億円)の一部(2億円)請求訴訟を提起している。

 なお、フィリピン政府は、国家プロジェクトとして観光事業を強力に推進することを目的に、マ二ラ湾岸沿いに「マニラベイ・エンターテインメントシティー」を創設しつつある。そして、3月16日にオープンした「ソレア・リゾート&カジノ」(ソレア、ブルームベリー・リゾーツ社が開発・運営)のほか、UEなど4グループの大型カジノ・リゾートプロジェクトが進行しつつある。

 UEグープルのプロジェクトは『マニラベイ・リゾーツ』と称され、世界最大規模のカジノ施設を含む豪華ホテルや高級レストラン、商業施設、バジェットホテル、コンドミニアム、世界最大級の噴水やビーチクラブを兼備した一大複合リゾート開発が計画されている。
 
 UEグループ゚は、2008年7月にプロジェクト用地取得、2008年8月に暫定カジノ・ライセンス取得などの準備を進めてきた。しかし、この事業における認可プロセスなどにおいて、UEグループからフィリピン賭博公社の当時のトップなどに巨額の不正資金が流れたのではとの多くの報道が行われ、米国やフィリピン当局が捜査に着手するに至っている(13年3月22日の株式会社ユニバーサルエンターテインメントIRリリースなどより)。