関西空港でフィリピンからのチクングニア熱輸入症例

2013/01/15

デング熱と類似、発熱・筋肉痛・関節痛・発疹等の特徴
日本でフィリピンからの帰国者3例目、関空で初の検出

 関西空港検疫所は1月15日に、同検疫所で初めて「チクングニアウイルス感染症」(チクングニア熱)を検出したと発表した。

 チクングニア熱に感染していた患者は、奈良県在住の23歳日本人男性。この男性は、昨年12月23日から1月10日までフィリピン・セブ島及びダバオに滞在。1月10日から発熱し、帰国時関西空港検疫所で発熱反応を認め、血液検査実施され発見された。 帰国時症状は、発熱(38.6℃)、全身倦怠感、関節痛であった。

 チクングニア熱は2011年2月1日から感染症法4類感染症及び検疫感染症に追加されている。関西空港検疫所での検査実施数は、2011年179件(陽性0件)、2012年310件(陽性0件)、2013年1月10日現在16件(陽性1件)となっている。

 日本での輸入例報告数は、 2006年11月~2011年12月末28例、 2012年10例、 2013年1例。今回の輸入症例は、フィリピンからの帰国者としては3例目、奈良県在住者としては1例目である。

 チクングニア熱はチクングニアウイルスによる感染症であり、通常は非致死性の発疹性熱性疾患である。ネッタイシマカ、ヒトスジシマカなどに刺されることで感染する。潜伏期間は3~12日(通常3~7日)であり、発熱・頭痛・筋肉痛・関節痛・発疹を特徴とする。

 症状はデング熱と似ているが、チクングニア熱の方がデング熱よりも関節痛が強いという特徴がある。関節痛は急性症状が軽快した後も、数週間から数ヶ月にわたって続く場合がある。重症例では神経症状(脳症)や劇症肝炎が報告されている。日本では2006年に初めて報告されて以降、年間数例の報告にとどまっていたが、近年増加傾向にある。
 
 チクングニア熱を媒介するヒトスジシマカは日本にも生息しており、海外でチクングニア熱を発症した患者が帰国後にヒトスジシマカに吸血されることで感染サイクルが生まれ、国内で流行する可能性があり危惧されている。実際にイタリアでは、2007年に国外でチクングニア熱に感染した患者からチクングニアウイルスが輸入され、国内で流行するといった事例がみられた(13年1月15日の関西空港検疫所検疫課発表より)。