日本とフィリピン、海洋安全保障協力強化で一致
2013/01/10
日本、都市高架鉄道拡張計画(433億円)の支援表明
新ボホール空港(108億円)や和平最終合意への貢献も
フィリピンを訪問中の岸田文雄外務大臣は、1月10日9時頃から約85分間、アルバート・デル・ロサリオ・フィリピン外務大臣との間で日・フィリピン外相会談を行い、続いて約70分間にわたり、デル・ロサリオ大臣主催昼食会において意見交換を行った。概要は以下のとおり。
1.冒頭
(1)デル・ロサリオ大臣が、岸田大臣の外務大臣就任に祝意を表すとともに、昨年12月の台風パブロによる被害に対して日本から寄せられた支援に謝意を表明した。
(2)これに対し、岸田大臣は、外務大臣としての最初の訪問国としてフィリピンを訪問でき光栄であること、基本的価値観と多くの戦略的利益を共有するフィリピンとの関係が重要であることを述べ、両大臣は,「戦略的パートナーシップ」を強化していくことで一致した。
2.二国間関係
(1)二国間経済関係に関し、ビジネス環境整備等を通じた貿易・投資の拡大、インフラ整備、看護師・介護福祉士の受入れ等につき協力を進めることが重要であることで一致した。特に、インフラ整備については、岸田大臣が、円借款によるLRT(都市高架鉄道)拡張計画(約433億円),新ボホール空港建設計画(約108億円)の支援を表明した。
(2)二国間の政治・安全保障面での関係について,「戦略的パートナーシップ」を一層深化させ、次官級戦略対話の早期実施を始めとする政策対話及び海洋分野における協力を強化することで一致した。また、デル・ロサリオ大臣から、ミンダナオ和平について日本のこれまでの積極的な貢献に謝意が表されたのに対し、岸田大臣はミンダナオ和平に関する「枠組み合意」署名を歓迎し、最終和平合意に向けて最大限の貢献を行う考えを表明するとともに、バンサモロ自治政府発足に向けた人材育成・コミュニティ開発の分野における支援を検討していく旨を表明した。
3.地域情勢
(1)ASEAN関連では、今後とも日・ASEAN関係の強化に向け、緊密に連携することで一致した。
(2)南シナ海をめぐる問題について、地域の平和と安定に直結する国際社会全体の関心事項であり、全ての関係国が国連海洋法条約等の関連国際法を遵守することが重要であるとの認識を共有し、引き続き協力していくことで一致した。
(3)北朝鮮の核ミサイル問題の解決に向けて引き続き協力していくことについて一致し、拉致問題の解決の重要性についても一致した(13年1月10日の日本外務省発表より)。