前年4.6%から急低下、インフレ目標（3～5%）達成
寄与度：住宅・光熱・燃料1.03%、食料0.82%など
　

 フィリピン国家統計局（NSO）は1月4日、2012年12月及び年間の消費者物価動向を発表した。

 

　消費者物価上昇率（インフレ率：2006年基準の前年同月比％）

項目	12年12月	12年11月	12年1～12月
全国　　 　総合インフレ率	2.9	2.8	3.2
コアインフレ率	3.3	3.4	3.7
首都圏　　総合インフレ率	2.8	2.6	2.9
地方　　　 総合インフレ率	2.9	2.9	3.2

　（出所：フィリピン国家統計局資料より作成）

　総合消費者物価上昇率年平均(2006年基準、前年同月比%)

年	2007年	2008年	2009年	2010年	2011年	2012年
平均インフレ率	2.9	8.3	4.1	3.9	4.6	3.2

　（出所：フィリピン国家統計局資料より作成）

　インフレ率目標と実績の推移（過去実績は2000年基準値）

	2008年	2009年	2010年	2011年	2012～14年	2015～16年
インフレ目標	3.0～5.0%	2.5～4.5%	3.5～5.5%	3.0～5.0%	3.0～5.0%	2.0～4.0%
インフレ率実績	9.3%	3.2%	3.8%	4.4%	-	-

（出所：フィリピン中央銀行資料より作成）

　12月の総合消費者物価上昇率(インフレ率、2006年=100)は前年同月比2.9%（速報値）で、中央銀行の12月のインフレ率予想圏内（2.6～3.5%）におさまった。前年同月から1.3%ポイント鈍化したが、前月の同2.8%からは0.1%ポイント上昇した。ホーリデーシーズンを控えた需要の高まりや悪天候による農作物の国内供給量の減少が米、魚、青果、肉類の小売価格を引き上げた。一方、コアインフレ率（特定食品及びエネルギー関連品目を除く）は3.3%で前月より0.1%ポイント鈍化した。

　主要食品のうち価格の前月比で穏やかながら上昇傾向を示したのが、米、パン・シリアル、野菜、果物、魚類、肉類、その他食品類であった。油脂類、砂糖・菓子類、コーンなどは僅かに鈍化した。

　12月のマニラ首都圏(地域別構成比30.006%）の総合インフレ率は2.8%で前月の2.6%から0.2%ポイント上昇した。
　首都圏以外の地方(地域別構成比69.994%）の総合インフレ率は2.9%で前月から横這い。総合インフレ率の上昇した地域は全国17地域のうち5地域。最もインフレ率が高かった地域は中部ビサヤ地方（6.7%）、最も低かった地域はイロコス地方（0.3%）であった

　2012年年間の平均総合インフレ率は3.2%で、2012年の政府インフレ目標（3.0～5.0%）のほぼ下限となった。また、2011年の4.6%から急低下、2007年の2.9%以来の低インフレとなった。年間平均コアインフレ率は3.7%であった

　総合消費者物価上昇率(2006年基準、前年同月比%)

項目	年間		11年	12年
月	11年	12年	12月	1月	2月	3月	4月	5月	6月	7月	8月	9月	10月	11月	12月
総合	4.6	3.2	4.2	4.0	2.7	2.6	3.0	2.9	2.8	3.2	3.8	3.6	3.1	2.8	2.9
食料・非アルコール飲料	5.5	2.3	4.1	3.2	1.4	1.4	1.8	1.8	2.1	2.3	3.3	3.7	2.5	2.2	2.3
酒類・煙草	5.3	5.0	6.0	5.6	4.7	4.3	5.0	5.2	4.8	4.9	4.8	4.8	4.8	5.0	5.1
衣料・靴類	3.7	4.6	3.7	3.9	3.7	3.6	4.6	5.1	5.2	5.0	5.2	5.0	5.0	5.0	4.9
住宅・光熱・燃料	5.1	4.6	4.9	5.3	4.7	4.5	4.7	4.5	4.1	5.0	5.6	4.5	4.5	3.7	3.6
家庭用品・営繕	2.5	3.7	2.5	2.4	2.1	2.3	3.2	3.3	3.7	4.1	4.4	4.6	4.8	4.8	4.8
健康・医療	3.2	3.1	3.0	2.8	2.8	2.8	3.3	3.2	3.3	3.2	3.1	3.0	3.0	3.1	3.1
交通・輸送	6.0	2.3	6.2	5.6	4.0	3.3	3.2	2.2	1.3	0.7	1.1	1.7	1.7	1.4	1.2
通信	-0.2	0.1	-0.4	-0.4	-0.3	-0.3	0.0	0.1	0.1	0.2	0.2	0.3	0.3	0.4	0.4
娯楽・文化	1.4	2.6	1.8	2.5	2.6	2.2	2.6	2.8	2.4	2.7	2.7	2.7	2.6	2.6	2.6
教育	4.7	4.6	4.7	5.0	4.7	4.7	4.8	4.7	4.8	4.5	4.5	4.5	4.5	4.4	4.4
外食・サービス他	2.8	3.2	3.2	3.5	3.0	2.9	3.3	3.4	3.4	3.5	3.3	3.2	3.2	3.2	3.2
首都圏	4.0	2.9	3.1	3.5	2.3	2.7	2.5	2.2	2.2	3.1	4.4	3.5	2.9	2.6	2.8
地方	4.9	3.2	4.5	4.0	2.9	2.6	3.2	3.1	3.0	3.2	3.6	3.7	3.3	2.9	2.9

　（注：11、12年の一部は改定値）

　食料品物価上昇率(2006年基準、前年同月比%)

項目	食料	米	コーン	果物	野菜	肉類	魚類	乳製品・卵	油・油脂	パン・シリアル	砂糖・菓子類	その他食品
11年12月	4.2	1.3	15.0	7.2	12.1	2.2	7.9	3.1	20.7	3.0	-20.7	3.8
12年　1月	3.3	0.6	14.4	6.3	7.3	1.9	7.6	3.0	16.1	2.4	-22.8	3.7
2月	1.2	-0.1	9.9	4.2	-4.1	1.6	5.5	3.1	7.6	1.7	-24.1	3.1
3月	1.2	0.0	6.6	4.9	-3.7	1.7	6.5	2.8	2.2	1.5	-23.3	1.6
4月	1.7	-0.3	5.2	6.9	-1.0	1.4	7.5	3.2	-0.3	1.2	-20.2	2.9
5月	1.7	-0.2	4.5	7.0	-0.6	1.0	6.9	3.1	-1.6	1.4	-17.0	3.3
6月	2.0	-0.3	5.5	7.2	1.2	0.8	6.6	3.3	-2.9	1.3	-13.3	2.4
7月	2.2	0.5	5.6	7.5	0.0	1.0	6.7	3.5	-4.0	1.8	-6.8	1.4
8月	3.3	1.0	3.3	7.7	7.4	1.3	7.3	3.5	-4.6	2.1	-0.6	1.7
9月	3.6	1.2	4.1	6.2	9.9	1.3	6.9	3.4	-4.9	2.3	2.5	2.7
10月	2.5	1.1	4.8	5.2	-0.1	1.4	6.0	3.4	-4.5	2.1	3.6	2.2
11月	2.1	1.6	5.0	4.9	-5.3	1.5	5.8	3.3	-5.0	2.5	3.8	2.1
12月	2.2	1.9	4.5	5.5	-5.0	1.6	5.9	3.2	-5.2	2.7	3.4	2.8

　　（出所：フィリピン国家統計局資料より作成）

　なお、2012年12月の総合インフレ率（2006年=100）2.90%への寄与度は、食料・非アルコール飲料0.90%（うち食料0.81%）、住宅・光熱・燃料0.81% 、外食・サービス他0.38%、教育0.15%、衣料・靴類0.15%、交通・輸送0.09%などであった。

　2012年年間（1～12月）の平均総合インフレ率（2006年=100）3.17%への寄与度は、食料・非アルコール飲料0.91%（うち食料0.82%）、住宅・光熱・燃料1.03% 、外食・サービス他0.38%、交通・輸送0.18%、教育0.15%、衣類・靴類0.14%など（13年1月4日のフィリピン国家統計局と中央銀行発表などより）。

　12年12月及び年間のインフレ率（2006年=100）と寄与度(％）

項目	物価指数 構成比	12月		2012年1～12月
		インフレ率	寄与度	平均インフレ率	寄与度
総合	100.00	2.90	2.90	3.17	3.17
食料・非アルコール飲料	38.98	2.32	0.90	2.34	0.91
うち食料のみ	36.29	2.22	0.81	2.25	0.82
酒類・煙草	2.00	5.13	0.10	4.98	0.10
衣料・靴類	2.95	4.91	0.15	4.65	0.14
住宅・光熱・燃料	22.47	3.61	0.81	4.57	1.03
家庭用品・営繕	3.22	4.75	0.15	3.68	0.12
健康・医療	2.99	3.11	0.09	3.06	0.09
交通・輸送	7.81	1.21	0.09	2.28	0.18
通信	2.26	0.43	0.01	0.11	0.00
娯楽・文化	1.93	2.60	0.05	2.62	0.05
教育	3.36	4.36	0.15	4.60	0.15
外食・サービス他	12.03	3.15	0.38	3.19	0.38

　　（出所：中央銀行資料より作成　注：前年同月比、前年同期比）