フィリピンの汚職、依然深刻も急改善続く

2012/12/06

清廉度105位(昨年129位、一昨年134位)
118位インドネシアや123位ベトナムを再逆転

 世界各国の汚職動向を監視している非政府組織(NGO)であるトランスペアレンシー・インターナショナルは、12月5日に、国・地域別汚職認識指数(Corruption Perceptions Index=CPI)やそのランキング2012年版を発表した。2012年調査対象となったのは176ヵ国・地域。

 

 トランスペアレンシー・インターナショナル汚職認識指数は、ビジネス関係者、一般大衆及び各国のアナリストなどによって、公務員や政治家の間に汚職がどの程度存在すると認識されているかという点から各国をランク付けている。得点数(100点満点)や順位が高いほど汚職に対する清廉度が高く,得点数や順位が低いほど腐敗度が高いことを意味する。


 2012年の清廉度トップはニュージーランド、デンマーク、フィンランド(90点)。以下、4位スウエーデン(88点)、第5位シンガポール(87点)、第6位スイス(86点)、第7位豪州とノルウェー(85点)、第9位カナダとオランダ(84点)となっている。

 
 最下位の174位は北朝鮮、ソマリア、アフガニスタン(8点)、173位がスーダン(13点)、172位がミャンマー(15点)、170位がウズベキスタン、トルクメニスタン(17点)であった。北朝鮮とソマリアは連続の最下位である。


 主要国では、日本が17位(74点)で昨年の14位から後退。ドイツは13位(79点)、英国17位(74点)、米国が19位(73点)などとランクされている。経済成長の高さで注目されてきた中国は80位(39点)であった。

 フィリピンの清廉度は105位(34点)で、昨年の129位(183カ国・地域対象)から一気に24ランク上昇した。昨年も、一昨年の134位、その前の139位から2年連続で5ランクの上昇となっていた。依然、汚職・腐敗は深刻ではあるが、改善傾向、特に、今年の急改善ぶりは注目される。アキノ政権の汚職撲滅努力の効果が顕在化し始めたといえよう。
 
 フィリピンは、今年の清廉度急改善により、118位のインドネシア(32点)、123位のベトナム(31点)を抜き返した。そのほか、東南アジアでは、157位のカンボジア(22点)、160位のラオス(21点)、172位のミャンマー(15点)を上回った。
 
 上述以外のアジア主要各国・地域は、香港14位(77点)、ブータン33位(63点)、台湾37位(61点)、韓国45位(56点)、ブルネイ46位(55点)、マレーシア54位(49点)、スリランカ79位(40点)、タイ88位(37点)、インド94位(36点)、パキスタンとネパール139位(27点)、バングラデシュ144位(26点)などとランクされている。

 なお、トランスペアレンシー・インターナショナル汚職認識指数は、国によって調査基準や調査機関数が異なり正確なランキングとは言えないとの批判もあるが、広く公表されることで汚職防止に一定の役割を果たしていると評価されている(12年12月5日のトランスペアレンシー・インターナショナル発表より)。