比セブン・イレブン好業績、9カ月間で28%増益

2012/11/07

9月末の店舗数は781店、1年間で149店増加
来年中に1千店体制、株価3年間で32倍に上昇

 

 フィリピンのコンビニエンス・ストア業界が離陸期入りし、高成長を続けている。

 そして、業界トップ(店舗数シェアで約50%)のセブン・イレブンをミニストップやマーキュリー・セルフサービスが追うという構図になっている。そして、ファミリーマートがこのほど、アヤラやルスタンなどとの合弁方式によるフィリピン進出方針を発表した。

 フィリピンのセブン・イレブンは、台湾系のプレジデント・チェーン・ストア(ラブアン)ホールディングスが55.35%を所有(2012年9月末現在)するフィリピン・セブン社(PSC)によって運営されている。PSCは1982年11月に設立され、同年12月に米国テキサス州ダラスのサウスランド社(その後セブン-イレブン社に社名変更)からフィリピンでのセブン・イレブン運営ライセンスを獲得。1998年2月4日に、フィリピン証券取引所(PSE)に上場した。

 このPSCが2012年度第3四半期(7月~9月)及び9カ月間(1月~9月)の報告書を公表した。それによると、9カ月間のPSC総収入は前年同期比32%増の94億5,724万ペソ、商品売上高は同33%増の84億8,427万ペソ、純利益は同28%増の2億2,443万ペソと大幅増収増益決算となった。

 第3四半期は、首都圏を中心とする悪天候の影響により7%増益へと鈍化したが、9カ月間では新規出店効果、商品構成見直し、効率化、公共料金支払いやクレジットカード取り扱い拡大などによる一層の顧客利便性向上などにより好決算となった。今後、2013年の選挙特需効果なども期待されることから、業績向上ピッチが高まりそうである。

 PSCは、2012年9カ月間で95店をオープン、3店を閉鎖した。この結果、2012年9月末のフィリピンでのセブン・イレブン総店舗数は781店に達し、2011年末の689店から92店の増加となった。前年同月末の632店からは149店、率にして24%増加した。
 
 PSCの店舗数は、2006年末287店、2007年末311店、2008年末368店、2009年末447店、2010年末551店、2011年末689店、2012年9月末781店と順調に拡大している。PSCは2012年年末までに800店、2013年末までには1000店とする方針を表明している。
 また、これまではマニラ首都圏中心の店舗展開であったが、7月にセブへ初出店した。セブでは2012年末までに30店、3年間で100店体制を目指している。

 なお、PSCは2012年11月15日時点の株主に15%の株式配当を実施する。配当落ち日は11月12日、配当支払い日は12月3日となる。

 フィリピンのコンビニ業界やPSCの成長期入りとともに、フィリピン証券取引所(PSE)におけるPSCの株価が大幅上昇している。従来PSCの商いは薄く、その株価は2009年第1四半期から第3四半期までは2.50ペソに張り付いていた。ところが、2009年末に7.00ペソへ、2010年末は14.32ペソ、2011年末に25.90ペソまで上昇した。2012年に入ると、株価上昇に弾みがつき、11月7日には史上最高値81ペソをつけた。すなわち、2009年第3四半期までの2.50ペソからは約3年間で約32倍まで急騰したことになる(フィリピン・セブン社2012年第3四半期報告書などより)。