フィリピンのデング熱患者・死亡、東南アジアで断トツ

2012/09/04

患者数17.5%増の7万5千人、2位ベトナムの2.8倍
死亡448人で2位カンボジアの4.4倍:8月11日現在

  フィリピン保健省(DOH)の最近の発表によると、2012年1月1日から8月11日迄にフィリピン全国の病院で報告されたデング熱発症患者数は前年同期比17.5%増の7万4,784件と高水準、そのうち死亡例は448件であった。

 雨が多い8月~9月は発生ピッチが高まると懸念されている。日本外務省も、7月19日に発出した「夏休みに海外に渡航される皆様へ(海外で注意すべき感染症について)」というタイトルの渡航情報(広域情報)において、フィリピンなどでのデング熱、デング出血熱流行に関して、以下のように注意喚起している。
 
 デング熱、デング出血熱は世界中の100カ国以上で流行しており、毎年約5,000万~1億人の患者が発生していると考えられている。日本では、海外での感染帰国者(輸入症例)が毎年約100人報告されている。2011年は103人の患者が報告されており、フィリピン、インド、インドネシアでの感染事例が増加している。2012年は6月現在、すでに58例以上が輸入症例として報告されている。

 また、日本の国立感染症研究所は9月3日に、2012年デング熱患者数(WHO西太平洋地域内)という以下のようなデータを発表した。WHO西太平洋事務所管轄の東南アジア・豪州各国において、フィリピンのデング熱患者数、死亡数は断トツの多さである。患者数で第2位のベトナム(2万6,624人)の2.8倍、死亡数で第2位のカンボジア(101人)の4.4倍に達している。

 
2012年デング熱患者数(WHO西太平洋地域内)
国名 患者数 死亡数 データ基準日
フィリピン 74,784 448 8月11日
オーストラリア 1,135 0 7月31日
カンボジア 23,929 101 7月31日
ラオス 3,121 3 8月11日
マレーシア 13,912 26 8月11日
シンガポール 2,839 0 8月18日
ベトナム 26,624 15 6月30日
(出所:日本国立感染症研究所資料より作成)