日産のASEANシェア15%計画、順調な出足
2012/07/22
2010年度シェア6%、11年度7%、今年度9%へ
車社会を迎えるフィリピンが重要市場に
ASEAN地域の戦略的統括会社として昨年バンコクに設立されたアジア・パシフィック日産自動車(NMAP)は、昨年7月25日に、ASEAN地域でのさらなる成長に向けた6ヵ年の新中期経営計画を発表した。
この計画において、日産自動車グループ(日産)は、2010年度に15万台だった販売台数を2016年度までにその3倍以上となる50万台とし、市場占有率も2010年度の6%から15%に引き上げることを目指している。
この計画発表から1年が経過した7月13日に、NMAPとタイ日産自動車会社(NMT)の社長を兼務する木村隆之氏が計画の進展状況や今後の計画について説明した。
それによると、日産のASEAN地域でのシェアは、アジア危機以降の2000年代は3%から5%で推移していたが、2010年度は6%、2011年度には7%、今年度は9%という計画に向かって確実に進捗している。中心地であるタイでの2011年度の販売は前年度比18%増と2桁増加し市場シェアは9.2%に上昇、2012年度は販売目標10万台、市場シェア10%以上という目標の達成の可能性は高いとのことである。
木村社長は、ASEAN地域において、ローカライゼーション(現地化)が非常にキーになる最も大事なファクターだと考えている。ローカライゼーションを「現地化」としてとらえるのであれば、部品やコンポーネントの現地化だけではなく、現地の人を使った人材や組織の育成ということも含めて重要であると判断している。
ASEAN地域がグローバルの中での車両生産基地、他の地域への輸出基地として、インドや中国と伍して生き残っていくには、価格競争力が非常に重要である。それを実現するための最も重要な要素がローカライゼーションであるとも考えているとのことである。
また、ASEAN地域は、国別に経済の発展段階は違うし自動車市場も大きく異なることから、ローカライゼーションに加えて、それぞれの商品戦略、生産戦略、生産補完戦略をきちんと構築していくことも重要である。
タイ、インドネシア、マレーシアなど、既にモータリゼーションが到来した国だけではなく、フィリピン、ベトナム、ミャンマーも含めて、これからモータリゼーションが到来する国にどう対応していくのか、積極的にモータリゼーションを起こすことはできないのかなども含めて様々な方面からスタディしていくのが、NMAPとして重要な役割であるとしている。
なお、NMAPは、シンガポールが拠点であったアジア・パシフィック日産会社(NAP)が担っていた地域マーケティング・販売機能と、タイに拠点を置いていたNTCSEA(日産テクニカルセンターサウスイーストアジア)を再編成し、2011年7月1日に新たな地域統括会社としてバンコクに設立された。主に、地域マーケティング・販売、商品企画、プログラム管理、R&D、モノづくり戦略(購買、生産、SCM)等の役割を担ってる(12年7月13日の日産自動車株式会社ニュースリリースなどより)。