住友鉱出資のニッケル・アジア、出荷量19%増加

2012/07/13

市況下落で出荷金額は小幅減の51億ペソ:上半期
 

 フィリピンの有力ニッケル鉱山会社であるニッケル・アジア・コーポレーション社(ナック社)の出荷量は、今上半期も堅調に推移しているが、市況下落で出荷額は小幅減少となっている。

 2012年上半期(1~6月)のニッケル鉱石出荷量は前年同期比19%増の502万トンに達した。502万トンのうち、約280万トンがリオツバ鉱山から、約104万トンがタガニート鉱山から出荷された。なお、2011年の出荷量は前年比25%増の1,040万トンであった

 2012年上半期の出荷量は二桁増加したが、ニッケル国際市況下落により、出荷額は前年同期比1.4%減の50億5,000万ペソにとどまった。ちなみに、上半期のロンドン金属取引所(LME)でのニッケル1パウンド当たり平均価格は8.60米ドルで、前年同期の同11.48ドルから25%下落した。ナック社の出荷量502万トンのうち約48%に相当する240万トンの出荷価格はLME市況に連動、LME市況下落が響いた。
 
 一方、中国向けなどの中低位ニッケル鉱石の販売価格はLME市況に連動しておらず交渉ベースで決定される。この交渉ベース販売での1トン当たり出荷価格は25.87米ドルで前年同期比19%上昇、LME市況下落の悪影響を緩和した。

 ナック社は世界有数のニッケル資源国であるフィリピンにおいて、最大規模のニッケル鉱石生産を行う鉱山会社である。2006年2月に、それまで個別に経営されていたサモラグループ傘下のニッケル鉱山会社の資本を統合し、経営資源を集中させることにより、経営の一層の効率化を実現するために設立された。

 ナック社は、住友金属鉱山の重要な戦略パートナーである。ナック社傘下には、住友金属鉱山のフィリピン子会社であるコーラルベイ・ニッケル社(CBNC)へ出資するとともにニッケル鉱石を供給しているリオツバ・ニッケル・マイニング社がある。
 住友金属鉱山は2009年8月にナック社に資本参加した。2012年3月末時点で、100%子会社である住友金属鉱山フィリピン・ホールディングス(SMMPH)を通じて、ナック社株式約19.16%(個別株主名が明示されている分)を保有している。

 また、ナック社は昨年10月3日に武装勢力の襲撃を受けて、操業一時停止を余儀なくされたタガニート・マイニング・コーポレーション(TMC)の親会社である。襲撃事件を克服し事業拡大を続けているといえよう(12年7月12日のフィリピン証券取引所回覧5293-2012号などより)。