4月の失業率6.9%(前年同月7.2%)へ改善

2012/06/16

最高は首都圏10.4%、最低カガヤンバレー2.8%
失業者の52%が若年層、35%が大学進学者

 

 国家統計局は6月15日、2012年4月の失業率(速報値:2000年国勢調査に基づいた人口予測を使って算出)が6.9%となり、前年同月の7.2%から0.3%ポイント改善したと発表した。

 2012年4月の15歳以上の人口(2000年国勢調査基準)6,284万2,000人のうち労働力人口は約4,060万人で、労働力参加率は64.7% 。就業者数は前年同月比2.8%増の3,784万1,000人、失業者数は0.2%減の292万2,000人。2012年1月の就業率は92.8%で前年同月の92.6%から0.2%ポイント上昇した。

 就業者3,784万1,000人のうち、農業部門が33.0%、サービス部門が51.4%、鉱工業部門が15.6%を占める。雇用源としてのサービス部門の重要性が高い。サービス部門のうち、卸売・小売業、自動車・オートバイ修理業に従事する者が全体の19.0%と最も多かった。

 就業形態比率は、賃金労働者が55.5%(前年同月55.0%)、そのうち民間企業で働く者は42.9%を占めた。自営・事業主は32.6%(33.1%)、無給家庭内労働者が11.9%(11.9%)であった。フルタイム就業者(週40時間以上勤務)の比率は就業者全体の55.1%。前年同月の61.1%から6.0%ポイント低下した。

 不完全就業者(就業者であっても十分な労働時間に満たず追加の仕事を求めているパートタイム労働者)数は前年同月比2.6%増の731万2,000人。率で見ると19.3%で前年同月の19.4%から0.1%ポイント低下した。
 
 失業者数280万3,000人のうち、15歳~24歳の失業者数が51.7%(前年同月50.0%)を占めており若者の失業者数の多さが目立つ。次いで25歳~34歳が28.2%(30.0%)。また学歴別では、大学進学・卒業者が34.8%(前年同月43.5%)、ハイスクール進学・卒業者44.5%(44.2%)を占める。性別では男性62.3%(前年同月64.0%)、女性37.7%(36.0%)。

 地域別で失業率が最も高いのはマニラ首都圏で10.4%。以下、カラバルソン(8.8%)、イロコス(8.0%)、中央ルソン(8.0%)と続く。失業率が最も低かったのは、カガヤンバレー(2.8%)、次いでミンダナオ・イスラム教徒自治区(2.9%)。不完全就業率が高いのはビコール(34.7%)、北ミンダナオ(26.7%)など。不完全就業率が最も低いのはガヤンバレー(11.1%)、次いで中央ルソン(11.5%)。一方、就業率が一番高かったのは、カガヤンバレー(97.2%)、ミンダナオ・イスラム教徒自治区(97.1%)。最も低かったのがマニラ首都圏(89.6%)である。

 当地では、雇用統計は1月、4月、7月、10月と毎年4回発表されるが、今回2012年4月の労働雇用率、失業率等が算出された。なお、当地では10月は年末年始商戦に向けての一時的就業者増加効果で失業率が低下傾向となる。一方、4月は新卒者の労働市場参入により労働力人口が増加することで失業率が上昇しがちである。このように、季節的要因で失業率が季節毎に大きく変動することから、前年同月との比較でないとあまり意味をなさないことに留意する必要がある(12年6月15日のフィリピン国家統計局発表より)。

     フィリピンの雇用・失業者動向(単位:千人)

項目  新基準の失業率など
年月  11年4月 12年4月
15歳以上人口 61,778 62,842
労働力参加率 64.2% 64.7%
就業者数 36,820 37,841
就業率 92.8% 93.1%
失業者数 2,871 2,803
失業率 7.2% 6.9%
不完全就業者数 7,127 7,312
不完全就業率 19.4% 19.3%

   


    12年4月の地域別就業率・失業率の比較(単位:千人、%)

地域 15歳以上人口 労働力参加率 就業率 失業率 不完全就業率
マニラ首都圏 7,941 61.9 89.6 10.4 14.1
内陸自治区 1,128 69.0 94.3 5.7 6.9
1-イロコス 3,401 61.4 92.0 8.0 22.3
2-カガヤンバレー 2,243 68.2 97.2 2.8 10.7
3-中部ルソン 6,878 61.0 92.0 8.0 10.6
4A-カラバルソン 8,091 65.1 91.2 8.8 15.1
4B-ミマロパ 1,905 70.1 95.3 4.7 19.5
5-ビコール 3,760 64.5 93.1 6.9 34.7
6-西部ビサヤ 5,055 64.7 93.0 7.0 25.1
7-中部ビサヤ 4,795 67.7 92.8 7.2 22.4
8-東部ビサヤ 2,936 65.6 95.0 5.0 24.0
9-サンボアンガ半島 2,169 68.1 95.9 4.1 25.9
10-北部ミンダナオ 2,946 71.1 95.8 4.2 26.7
11-ダバオ地域 3,033 65.1 93.6 6.4 18.9
12-ソックサルジェン 2,638 67.1 95.5 4.5 21.2
カラガ 1,694 65.1 95.0 5.0 23.0
ミンダナオ・イスラム教徒自治区 2,231 55.9 97.1 2.9 13.4
フィリピン全体 62,842 64.7 93.1 6.9 19.3

   (出所・国家統計局資料より作成、12年4月は速報値)