オリンパス、フィリピンでの生産撤退へ

2012/06/09

今年度中にセブの生物顕微鏡工場閉鎖
中期経営計画でのコスト低減の一環

 オリンパス(東京)は6月8日に、2013年3月期を初年度とする5カ年の新中期ビジョンを策定した。中期ビジョンでは「原点回帰」を全ての戦略遂行、行動の基本とし、オリンパスの再生と新たな企業価値の創造を目指す。

 基本戦略として、1.事業ポートフォリオの再構築・経営資源の最適配分、2.コスト構造の見直し、3.財務の健全化、4.ガバナンスの再構築が掲げられている。評価指標と目標水準は、2017年3月期に投下資本利益率10%以上(2012年3月期実績は2.7%)、営業利益率10%以上(同4.2%)、フリーキャッシュフロー700億円以上(同マイナス48億円)、自己資本比率30%以上(同4.6%)とされている。

 事業的には、主力の医療事業で年平均14%成長を狙う。特に、中国やインドなどを中心に振興j国市場では同23%成長を目標とする。赤字の映像事業は、ミラーレス一眼カメラや小型デジカメの高機能製品に経営資源を集中して黒字化を図る。ライフサイエンス事業では新事業領域の開拓、生産拠点見直しによる製造原価低減で採算向上を図る。

 コスト構造の見直しに関しては、事業の選択を通じた要員の最適化により、14年3月期までにグループ従業員の約7%に相当する2,700人を削減する。そして、15年3月期までに、全世界30の生産拠点の約4割を再編する。
 これらの人員削減、製造拠点再編、調達力強化により、売上高原価率を15年3月期までに2ポイント、17年3月期までに3ポイント改善させる計画である。

 生産拠点再編において、フィリピン生産拠点であるオリンパス・オプティカル・テクノロジー・フィリピン(OOTP)が2012年中に閉鎖される。OOTPはセブ州ラプラプ市のマクタン経済区Ⅱに立地、生物顕微鏡の製造を行っている(12年6月8日のオリンパス株式会社ニュースリリースなどより)。