マニラでのADB年次総会閉幕、来年はデリーで

2012/05/06

 5月2日からマニラ首都圏パサイ市で開催されていたアジア開発銀行(ADB)第45回年次総会が、5日に閉幕した。今回の総会には過去最高の5千人以上が参加した。



 今回の総会は、アジアは比較的堅調な成長を続けているものの、燃料価格の上昇やそれらにともなうインフレ圧力の高まり、欧州での緊縮措置、気候変動の悪影響拡大等の課題も多いというタイミングでの開催となった。そして、主要議題は、世界経済鈍化へのアジアの対応、グリーン成長(環境保全と経済成長の両立)、包括的成長(すべての人々が恩恵を受ける成長)、地域の食料安全保障強化、都市再生、アジアとラテン・アメリカ間の貿易促進などであった。

 そして、総裁セミナーにおいて発表された論文「世界経済危機や変革の動きに、アジアはどのように対応可能か」では、アジアは、長引く先進国の経済再建の動きに適応するとともに、アジア新興国の持続可能かつ平等な成長の妨げになる障害を除去すべく、成長モデルをアップデートする必要があるとされた。

 ADBは5月2日には、低所得国支援を行うアジア開発基金(ADF)に対する加盟国からの次期拠出額について、前期(2009-12年)比11.1%増となる約79億SDR(米ドル換算では9.5%増の124億ドル相当)を確保できる見通しとなったと発表した。このうち、日本が13SDRの拠出意向を表明。なおADFは、域内最貧国向け融資の財源で、今回の財源補充は、2013年から2016年までの4年間をカバーする。
 また、自然災害に見舞われたADF被援助国を支援するため、「災害対策ファシリティ」(仮称)を基金内に設置、試験的に運用することも決定された。

 一方、ADB総会に合わせて開催されたASEAN+3(日中韓)財務大臣・中央銀行総裁会議では、アジア地域の金融セーフティネットであるチェンマイ・イニシアティブ(CMIM)の資金規模を現行の1,200 億ドルから2,400 億ドルへ倍増することが決定された。
 
 さらに、ASEANとADBは共同で、ASEANインフラファンドを創設(発足時規模4億8,500万ドル)することに合意した。このファンドは道路、鉄道、水道、電力、その他の重要インフラ整備事業が対象、年間600億ドルと推定される域内のインフラ整備資金調達を支援していく。
 
 このような経緯、成果などとともに、第45回年次総会が閉幕した。次回の年次総会は、2013年5月2日~5日にインドのデリーにて開催される(12年5月5日のアジア開発銀行ニュースリリースより)。