首都圏のオフィス賃貸料、上昇傾向続く

2012/04/30

高級物件、今後1年間で6%上昇見込み

 世界中のマーケットにおいて総合的な不動産の コンサルティング業務を行っているコリアーズ・インターナショナル(コリアーズ)が、フィリピン不動産市場概観2012年第1四半期(1~3月)動向及び今後の見通しをウェブサイトに掲載した。

 


 それによると、オフショアリング&アウトソーシング(O&O)産業の根強い需要により、現在マニラ首都圏全域にわたってオフィススペースの選択肢が限られている。従って、不動産開発業者は2年間に120万平米超の新規オフィススペースを開発し続けている。また、常にマニラ首都圏外の地域(セブ、ダバオ、イロイロ等)への関心が浮上している。これらの地域は大手開発業者間で重要な開発地となっている。

 マカティ中央ビジネス区(CBD)におけるオフィス供給量は依然限定されたまま。3カ月以上にも及ぶ完成の遅れで、スエリグ・ビル(Zuellig Building、5万7,000平米)の利用は2カ月後にずれ込む見通し。アルファランド・マカティ・タワー(3万8,400平米)及びグロリエッタ1&2 BPOビル(2万7,800平米)は2013年に利用可能となる唯一の新規オフィススペースである。

 2012年第1四半期のオフィス月間賃貸料は、マカティCBDのプレミアム(最高級)物件で前期比2.8%増の平均874ペソ/㎡、Aクラス物件は0.2%増の平均698ペソ/㎡、Bクラス物件は0.4%増の平均483ペソ/㎡。Bクラス物件は1年後の13年第1四半期には平均513ペソ/㎡と前年同期に比べ2.1%上昇、プレミアム物件は1年間で5.9%上昇すると予想される。

 マカティCBDにおける12年第1四半期のオフィス空室率(全クラス)は4.42%と前期(4.08%)を上回った。Bクラスのオフィス空室率が前期から1.02%ポイント上昇したのが主因。一方プレミアム及びAクラスのオフィス需要は依然として高い。コリアーズは1年後の13年第1四半期には全クラスの空室率を4.00%と予想している。

 12年第1四半期の首都圏主要地区土地価格は、マカティCBDで1平米当たり27万1,501ペソ~29万6,759ペソ(平均28万4,000ペソ)、1年後の13年第1四半期には6.6%上昇する見通し。一方、ボニファシオ・グローバルシティーで同15万4,500ペソ~22万5,145ペソ(平均19万ペソ)、1年後には17.0%上昇する見通し。オルティガスセンターで同9万7,952ペソ~16万3,614ペソ(平均13万1,000ペソ)、1年後には4.0%上昇する見通し。

首都圏主要地区土地価格推移(単位:万ペソ/ ㎡)

地区 11年Q4 12年Q1 対前期伸び率 13年Q1(予) 年間変化率予想
マカティCBD 26.6~29.0万 27.2~29.7万 2.3% 29.0~31.6万 6.6%
オルティガスセンター 9.7~16.1万 9.8~16.4万 1.5% 10.2~17.1万 4.0%
フォート・ボニファシオ 15.0~22.1万 15.5~22.5万 2.4% 19.1~25.3万 17.0%



マカティCBDオフィス平米当たり月間賃貸料(単位:ペソ/ ㎡)

物件タイプ 11年Q4 12年Q1 対前期伸び率 13年Q1(予) 年間変化率予想
プレミアム 788~912 825~922 2.8% 860~990 5.9%
Aクラス 497~895 500~895 0.2% 575~925 7.5%
Bクラス 451~510 455~510 0.4% 480~545 2.1%



マカティCBDオフィス空室率

物件タイプ 11年Q4 12年Q1 13年Q1(予)
プレミアム 5.52% 3.38% -
Aクラス 4.15% 3.63% -
Bクラス以下 3.81% 4.83% -
全クラス 4.08% 4.42% 4.00%



オフィス新規供給予想(単位:㎡)

地区 10年末総面積 11年供給 12年供給 13年供給 14年供給
マカティCBD 2,699,696 - 80,353 101,719 -
オルティガス 1,126,018 19,332 - 87,110 -
フォート・ボニファシオ 485,693 106,579 200,349 219,091 137,214
イーストウッド 252,979 39,840 35,765 - -
アラバン 234,305 31,247 - 33,560 -
その他 685,362 81,007 203,282 76,163 178,052
合計 5,484,053 278,005 519,749 517,643 -

(その他:マニラ、パサイ、マンダルーヨン、ケソン市)

マカティCBDオフィス資産価値(利用可能エリア)(単位:万ペソ/㎡ )

物件タイプ 11年Q4 12年Q1 対前期伸び率 13年Q1(予想) 年間変化率予想
プレミアム 10.0~11.7万 10.5~12.5万 5.5% 12.0~13.1万 9.3%
Aクラス 7.0~9.3万 7.0~9.5万 1.5% 7.3~10.1万 5.0%
Bクラス 4.7~6.3万 4.8万~6.3万 1.4% 4.9~6.6万 3.3%

(上記の表は全てコリアーズ・インターナショナル資料より作成、予想も同社によるもの