サンミゲル13%減益、実質では36%増益に
2012/03/28
売上高2.2倍、営業利益62%増の560億ペソ
キリン出資のサンミゲル・ビールも堅調
多角化を推進中のサンミゲルが2011年度(1月~12月)の決算発表を行った。
2011年の収入は前年比118%増(約2.2倍)の5360億ペソ、営業利益は同62%増の560億ペソ、、金利・税金・償却前経常的利益(経常的EBITDA)は同47%増の772億ペソと各々大幅増加した。株主帰属純利益は同13%減の175億ペソへと減少したが、一時的損益を除外した純利益は同36%増の173億ペソ、すなわち、実質36%増益決算であった。
ビール部門がスピンオフして発足したサンミゲル・ビールの販売数量は前年比1%増の2億2,380万ケース。内訳は国内が1%増の1億8,500万ケース、海外が同5%増の3,880万ケースであった。この結果、売上高は同6%増の719億ペソ、営業利益は同10%増の205億ペソと堅調な決算となった。なお、2011年年末時点でのキリン・ホールディングスのサンミゲル・ビール保有比率は約48.39%で、サンミゲルの約51%に次ぐ大株主となっている。
洋酒部門(ヒネブラ・サンミゲル)の販売数量は、前年5月の総選挙特需などの反動という特殊要因もあって、同37%減の2,500万ケースと大幅減少した。売上高は同33%減の151億ペソ、営業損益は8億9,100万ペソの赤字に転落(前年は15億1,900万ペソの黒字)と、唯一の不振部門となった。
食品部門の売上高は同11%増の896億ペソ、営業利益は同4%増の61億ペソ。一方、パッケージ部門(サンミゲル山村パッケージング)の売上高は同3%増の241億ペソ、営業利益は同8%増の22億ペソと堅調。双方とも、原燃料費上昇という環境下において、コスト削減や効率化推進などで増収・営業増益となった。
新規事業である電力関連事業の収入は同8%増の714億ペソ、営業利益は同3%増の167億ペソに達した。サンミゲルの発電事業は、2010年第3四半期から、持ち株会社SMCグローバル・パワー・ホールディングスのもとに集約されている。
石油製品部門(国内最大の石油元売り企業であるペトロン)の売上高は同20%増の2,740億ペソ、営業利益は同19%増の148億ペソ、純利益は同7%増の85億ペソと増収増益であった。輸出や高付価値の石油化学製品の売上高が増加したことなどが好決算につながった。
発電事業やペトロンの収入が、サンミゲル全収入の63%を占めるなど、新規事業の業績寄与度が高まるとともに、従来事業のビールや食品なども堅調に推移していることで、全体で大幅増収・実質大幅増益となっている。
昨年8月には、エッソ・モービルのマレーシア石油川下事業買収で合意、さらにカティクランのボラカイ空港拡張工事受注、タ―ラック~ラ・ウニオン高速道路建設(第1期のタ―ラック~ジェロナ間は2012年第4四半期に完工予定)など、サンミゲルの新規事業拡大に拍車がかかっている(12年3月28日のフィリピン証券取引所回覧2381-2012号などより)。