今後3年間のインフレ目標、3~5%を継続
2012/02/26
インフレ基準年度変更でも同じ数値目標に
マクロ経済目標を決定する開発予算調整委員会(DBCC)は、2012年~14年の3年間の各年のインフレ目標に関して、現行の目標値4%±1%(3%~5%)を継続することを決定した。
政府のインフレ目標は、DBCCが中央銀行と協議しながら決定するとされているが、実質的には中央銀行主導で決定される。
インフレ目標枠組みに関して、DBCCや中央銀行金融政策委員会は2010年7月に、変動制(年間インフレ目標)から3年間の固定制(中期インフレ目標)に変更する(2012年から)ことや、2012年~14年の各年のインフレ率目標を4%±1%(3%~5%)に固定することを決定した。
これは、中期インフレ率目標を固定することで、長期インフレ率見通しの普及を促進し、金融政策の予測可能性を高め、経済政策決定の予見性を高めることにより消費と投資をサポートすることを目指したものである。
この3年間のインフレ目標が決定された2010年7月時点のインフレ率算定基準年度は2000年であったが、2011年6月分発表から、基準年が2006年へと変更(2006年=100)された。このインフレ基準年変更に伴うインフレ目標の変更の必要性が討議されていたが、このほど変更の必要なしとの結論に達し、既存目標が継続されることになった。
フィリピンのインフレ率目標と実績の推移(実績は2000年基準値)
2008年 | 2009年 | 2010年 | 2011年 | 2012~14年 | |
インフレ目標 | 3.0~5.0% | 2.5~4.5% | 3.5~5.5% | 3.0~5.0% | 3.0~5.0% |
インフレ率実績(2000年基準) | 9.3% | 3.2% | 3.8% | 4.4% |
なお、インフレ率予想(Forecast)とインフレ目標(Target)が混同されることが多いが、両者は異なるものである。予想は単純な見通しであり環境が変化すればその都度変更されるものである。インフレ率目標(Target)は金融政策の基本的枠組みであり、それを基準として各種政策が決定されるものであり、頻繁に変更されるものではない。
フィリピンでは、金融政策を導く基本的枠組みとして、インフレ目標が2002年から正式に導入された。インフレ目標が比較的シンプルな枠組みであり国民にも分かりやすい、中央銀行の重要使命である物価安定に集中しやすい、インフレ目標を発表しそれを基準とした金融政策を履行することは金融政策に関する透明性や国民からの信頼性を高めるなどから、フィリピン政府はインフレ目標導入に踏み切ったのである。
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