経済区の電力料金割引、とりあえず1カ月間延長

2011/12/25

 電力セクター資産負債管理公社(PSALM)は、このほど、マニラ電力(メラルコ)との間で、移行期電力供給契約(TSC)を、2011年12月16日からの1年間、もしくは、オープンアクセス&小売競争スキーム導入後の3カ月間迄のどちらか短い期間に限り、延長することで合意した(電力規制委員会=ERCの承認が前提)。

 このTSC延長は、当初2011年12月からと予定されていたオープンアクセス&小売競争スキーム導入計画が、早くとも来年後半のスタートへと延期されたことに伴う措置である。当初2011年12月25日に満了とされていたTSC延長により、メラルコの電力調達が安定、引いては電力供給や料金の安定化につながると期待される。

 一方、オープンアクセス&小売競争スキーム導入により12月25日で廃止される予定であった、PEZA(経済区庁)経済区での電力料金割引制度に関しては、とりあえず12月26日からの30日間延長が承認されている。

 PEZA、メラルコ、フィリピン半導体エレクトロニクス企業連盟(SEIPI)は、PEZA経済区電力料金割引制度の約1年間程度の延長を求めてきたが、PSALMは減収幅が大きすぎること、不確定要素が多く情報収集の必要があるとして、12月23日時点では、とりあえず1カ月間の延長のみを認めている。ただし、今後の動きは流動的である。

 既報のとおり、フィリピンでは、2011年12月26日から、オープンアクセス&小売競争スキームによる電力小売り自由化第1ステージがスタート、それにともなうPEZA経済区での電力料金割引制度も廃止などが決定されていた。しかし、準備不足などにより、来年後半以降への延期が10月24日に決定されたという経緯がある。

 オープンアクセス&小売競争スキームでは、大口需要家は、小売電力供給企業(RES)を通じて、どの発電事業者から電力を購入するか自由選択が可能となる(自由競争原理の導入)。

小売り自由化の日程は、当初以下のように予定されていた。
第1ステージ(2011年12月26日):1MW以上の需要家
第2ステージ(第1ステージ開始2年後):750KW以上の需要家
第3ステージ(第2ステージ開始1~7年後):全ての需要家

 この日程は既に延期となっているが、今後の日程については、現時点では明確には示されていない(11年12月23日のPSALM発表などより)。