日本郵船がフィリピン教育支援クルーズ

2011/10/12

多数の比人船員乗船の「飛鳥Ⅱ」で実施

 日本郵船は、客船事業再開20周年を記念し、傘下の郵船クルーズが運航する「飛鳥Ⅱ」で公益財団法人プラン・ジャパン(プラン・ジャパン)の協力の下、10月5日から7日の2泊3日にわたり横浜港・清水港間でチャリティークルーズを実施した。このクルーズの売り上げのうち10万米ドルがプラン・ジャパンに寄付され、フィリピンの子どもたちの教育支援に役立てられる。

 
 クルーズ中はプラン・ジャパンや日本郵船の社会貢献活動の紹介パネルを展示、プラン・ジャパン評議員による講演会、民族衣装の体験などが行われた。展示会場では乗船者がフィリピンの子どもたちに向けたメッセージカード作りに協力した。
 
 フィリピンでは、教室の不足や老朽化により劣悪な環境で学習することが強いられている子どもたちがいる。また、5~7キロも通学しなければならないことや経験豊かな教師が不足していることなどから就学率の低迷、中途退学率が高くなるなどさまざまな問題がある。
 日本郵船はプラン・ジャパンとともに、小学校と中学校の教室を建設、学用品や交通費・寄宿費など補助金を支給することで、ミレニアム開発目標(MDGs)の「普遍的初等教育の達成」に貢献することを目指す。
 
 また、東日本大震災被災地支援として、チャリティークルーズ中の「飛鳥Ⅱ」船内に募金箱を設置した。乗船客からの支援金に日本郵船からの同額のマッチングギフトを加え、約27万円をプラン・ジャパンへ寄付する。
 プラン・ジャパンは途上国の子どもたちとともに地域開発を進める国際NGOプランの一員として、1983年に設立。子どもたちが持つ能力や可能性を十分に発揮できる地域づくりを目指し、世界21カ国の支援国と共通の目標・使命の下で途上国開発を推進している。

 なお、「飛鳥Ⅱ」には多くのフィリピン人クルーが乗船している。彼らは約30年前に日本郵船がマニラに設立した会社から発展してつくられた職業訓練センターの卒業生である。いまや世界の外航船員の40%を占めるといわれるフィリピン人船員であるが、この職業訓練センターはそのパイオニア的存在であるとともに、地元ではその教育についても高い期待がよせられている。

 また、日本郵船は2007年に、マニラ近郊カンルーバン市でNYK-TDGマリタイムアカデミーを開校している。この商船大学は、日本郵船の創業120周年記念事業の一環として設立されたものである。そして、従来の教育訓練施設とは異なり、「フィリピン高等教育庁」の認可を取得した正式な大学であり、3年間の講習と1年間の乗船実習の4年制商船大学である。

 日本郵船は、将来の幹部船員を育成するためには、学生の段階からマネジメント能力の育成などにも重点を置きつつ最前線の現場で求められる実践的な知識・技術の習得が必要として、この商船大学では卒業後に「即戦力」となる幹部船員を育成している。また、日本郵船グループの船員の大半を占めるフィリピンを今後とも船員養成の重要拠点と位置付け、独自の船員育成プログラムが必要であると考えている(11年10月11日の日本郵船株式会社ニュースリリースなどより)。