横浜ゴム、アジアの営業利益54%増加

2011/05/23

フィリピン(YTPI)の重要性一段と高まる
野地YTPI元社長、横浜ゴム本社社長に

 横浜ゴムの2010年度(2010年4月1日~2011年3月31日)の連結決算は、売上高が前期比11.4%増の5,197億円、営業利益が同37.5%増の295億円、経常利益が同24.6%増の234億円、純利益が同21.2%増の139億円となり、増収増益となった。

 タイヤに加え、ホース配管、シーリング材、航空部品が好調だったほか、タイヤを中心に値上げが浸透し、原材料費の上昇や円高による悪化を吸収した。操業度の改善やコスト削減が進んだことも利益を押し上げた。なお、東日本大震災の影響により、10億円の特別損失を計上している。
 タイヤ事業は売上高が前期比12.0%増の4,116億円、営業利益が同20.9%増の250億円で増収増益となった。国内外で販売が伸び、原材料費の上昇や円高による悪化を吸収した。

 所在地別では、アジアの売上高が前年比27%増の278億7100万円、営業利益は同54%増の52億4300万ペソへと大幅増加、全体の収益改善に寄与したことが目立つ。営業利益は全体の18%を占めた。アジアの拠点はフィリピン(横浜タイヤ・フィリピンズ=YTPI)、タイ、中国、台湾である。

 こうした状況の中、横浜ゴムグループは、将来の成長へ向け、海外でのタイヤ生産拠点であるヨコハマタイヤ マニュファクチャリング(タイ)、杭州横浜輪胎有限公司、横浜タイヤ・フィリピンズ(YTPI)の拡張工事ならびにロシアのLLC.ヨコハマR.P.Z.の工場建設に取り組んでいる。

 既報のとおり、本日5月23日には、YTPIの拡張工事起工式が行われる。第1次拡張として現在の年間700万本から同1,000万本に引き上げる。現在のタイヤ工場隣接地の借用契約を結び新タイヤ工場の建設をスタート、2013年から第1次拡張の操業を開始し、2014年からフル生産に入る。第1次の投資額は200億円。
 
 第2次として2014年までに同1,300万本に引き上げるための投資を実施し、2017年を目処に、同1,700万本体制(現行の2.4倍)まで能力を引き上げることを計画している。総投資額は累計500億円を見込んでいる。この増産計画が実現すると、YTPIのクラーク工場は、横浜ゴムグループにおいて、日本国内工場も含めたなかでの最大生産拠点となり、YTPIの横浜ゴムグループ内における重要性が一段と高まることになる

 なお、5月20日の横浜ゴム取締役会において、南雲忠信氏(現代表取締役社長)の代表取締役会長兼CEOへの昇格、野地彦旬氏(現取締役専務執行役員)の代表取締役社長への昇格などが内定された。これらの人事は、6月29日に開催予定の第135 回定時株主総会および同総会終了後の取締役会にて、正式に承認される予定である。

 南雲氏は1996年7月~1999年5月まで、、野地彦旬氏は2007年1月~2008年12月までYTPIの取締役社長を務めている(11年5月20日の横浜ゴム株式会社発表などより)。