フィリピン通信業界、大規模業界再編成

2011/03/29

第1位のPLDTが第3位のディジテル買収
買収後の携帯電話加入者数6千万人に

 当地最大の通信企業フィリピン長距離電話(PLDT)は、ゴコンウェイ・ファミリーの持ち株会社JGサミット傘下の通信企業ディジタル・コミュニケーション(ディジテル)を買収する。ディジテルは第3位の通信企業であり、携帯電話事業(ブランド名はサンセルラー)において、低価格を武器に、急速にシェアを伸ばしている。


 PLDTとJGサミットの合意によると、PLDTはJGサミットからディジテル株約32億8千万株(発行済み株式の51.55%)、ディジテルがJGサミットグループ向けに発行したゼロクーポン転換社債(186億株への転換権)などを、合計692億ペソで取得する。
PLDTは、取得代金をPLDT新株式で支払う。PLDT株式は1株当たり2500ペソとして計算され、支払い後のJGサミットのPLDT保有比率は約12.8%となる。PLDTは、ディジテル少数株主に対して株式公開買い付け(TOB)も実施する。ディジテル株式TOB価格は1株1.60ペソ。TOBに応じた少数株主には、PLDT株式(1株当たり2500ペソと計算)もしくは現金での支払いが行われる。

 フィリピンの通信業界は従来、PLDTグループと、アヤラ・グループとシンガポールテレコムの合弁企業グローブ・テレコムの2大グループの競合というパターンが続いてきた。最近、サンミゲルが、通信事業に参入、勢力を拡大させつつあるなど再編成の動きが見え始めていた。そして、今回のPLDTのディジテル買収というより大きな再編成に至った。

ちなみに、2010年末の携帯電話加入者数はPLDTグループ(スマートが展開)4560万人、グローブ・テレコムが2642万人、ディジテル(サンセルラーが1400万人)。買収実現後のPLDTグループの加入者数は6千万人に達することになる(11年3月29日のフィリピン証券取引所回覧2296-2011号などより)。