長大、ミンダナオで電力安定供給や環境保全に貢献

タギボ川小水力発電事業がJCM設備補助事業に採択

2017/07/19

   総合建設コンサルタントの長大(本社:東京都中央区)は、ミンダナオ島において、2015 年から進めているタギボ川小水力発電事業を、今後JCM (二国間クレジット制度)設備補助対象事業として開発を進める。

 この事業は、2015 年度に社国際協力銀行(JJBIC)の支援の下でFS 調査を開始し、「環境省2017年度二国間クレジット制度資金支援事業のうち設備補助事」において、フィリピンの事業パートナーであるエクイパルコ・コンストラクション・カンパニー(エクイパルコ社)と共同提案し、本年6 月26 日に採択された「フィリピン/ミンダナオ島タギボ川4MW 小水力発電プロジェクト(以下、「本事業」)」を実施するものである。

 本事業では、日本の優れた低炭素技術や製品(発電効率・稼働信頼性が高く、安定した運転が可能)等を活用することにより、フィリピンにおける温室効果ガス排出量を削減するものであり、事業実施において測定・報告・検証(MRV)を行い、これにより算出された排出削減量を、二国間クレジット制度(JCM)により日本の排出削減量として計上することを目指すものである。

 運転期間中は、長大の自社開発によるO&M サポート業務を効率的に行うための「クラウド型O&M 情報システム(AMCO Cloud)」を活用し、運転データの収集、遠隔からのモニタリングおよびデータ分析とそれに基づく日常業務の助言、レポーティング、最適なタイミングでの点検・補修の提案等O&M マネジメント・サービスを提供することで、設備利用率の向上、ライフサイクルコストの低減を実現し、より高効率で安定した発電所の運営管理をサポートする。

 長大は、2016 年4 月22 日に、本事業の共同提案者であるエクイパルコ社と、当社を含む日本企業4 社、ミンダナオ島に拠点を置く現地パートナー、ツインピーク・ハイドロ・リソーシス・コーポレーション(ツインピーク社)の全6社との間で、JCM 活用を前提とした低炭
素型経済開発と再生可能エネルギー事業開発で覚書を締結致し、1)同島ブトゥアン市を中心とするカラガ地域の低炭素型経済開発マスタープランづくりを行うと共に、2)同地域での小水力発電事業開発とバイオマス発電事業について協働して進めること、3)今後開発を進める太陽光、風力、地熱を活用する再生可能エネルギー開発について、同様に共同で取り組むことで合意しており、本事業を初めとし、今後も引き続き、当地で進める再生可能エネルギー事業をJCM 設備補助事業として開発を進める。

 長大はこれまで、雇用不足と和平問題が根深く存在するミンダナオ島において、同島ブトゥアン市並びに北アグサン州を中心に、エイパルコ社及びツインピーク社と共に様々な事業を通して地域の経済開発に貢献してきている。
【第1 ステージ(2011 年~2015 年)】
 河川での小水力発電事業、バイオマス発電事業、人口約35 万人のブトゥアン市への水道供給コンセッション事業、高生産性・高付加価値を提供する営農技術と養殖再生技術に基づくアグリ・アクア事業等、経済産業省、JICA、JBIC からの支援を頂きながら、民間主導型PPP による地域開発として個別の事業開発を行うことで、地域の経済開発に貢献。

【第2 ステージ(2016 年~2020 年)】
今後は、より深く地域の経済発展に貢献するべく、また、世界的な趨勢である低炭素社会を目指し、再生可能エネルギー事業開発を拡大すると共に、日系企業誘致を目指す約140ha の低炭素型工業団地開発事業に取り組む。地域の天然資源を活用した創エネと、その有効活用を図るための省エネ型工業団地への農林水産品加工業誘致により、エネルギーの地産地消をベースにした低炭素型経済開発を進める。また、同地域で生産された産品のバリューチェーンを構築するため、道路・港湾等の周辺インフラの開発・強化提案により両国政府の関与を促し、より本格的なPPP による地域開発を進めていく。

 長大は引き続き、日本政府が推進める質の高いインフラ輸出や低炭素社会の構築にも沿う形で事業の推進を図り、低炭素型経済開発を通して地球温暖化問題や日本国GHG 排出削減量獲得とミンダナオ島における和平構築に貢献していきたいと考えている。また、日本や日本企業とのパイプ役としての機能を担い、引き続き、日本の政府系機関や地方自治体、民間企業の参画機会を最大限に増やしつつ、ブトゥアン市周辺エリアをはじめ、ミンダナオ島の経済発展に強く貢献すると共に、日本の地方にある優れた技術やノウハウの輸出を通して、日本の地方創生にも貢献していきたいと考えている(17年7月18日の株式会社長大ニュースリリースなどより)。