比マクドナルド、帰属純利益19%増の9.7億ペソに

9月末店舗数は547店、ジョリビー1,023店の約半分

2017/11/15

マクドナルド・フィリピン(比マクドナルド)は、当地の有力持株会社アライアンス・グローバル・グループ(AGI)関連会社のゴールデンアーチス・デベロップメント(GADC)によって展開されている。第1号店は1981年にオープンした。

 このほど発表された AGIの2017年9カ月間(1月~9月)事業報告書において、GADC(比マクドナルド)の業績動向が記載されている。それによると、今9カ月間の比マクドナルドの売上高は前年同期比13%増の186億ペソ、純利益は同19%増の9億7,600万ペソ、帰属純利益も同19%増の9億6,600万ペソと好調であった。

 好決算の要因は47店の店舗増加(新規開店50店、閉鎖3店)効果、既存店の堅調な売上増加(5.8%増)既存店の改装効果、新商品投入、サービス拡大(営業時間延長、デリバリーやドライブスルー拡充など)、積極的な宣伝や拡販策の効果顕在化などである。前年同期は5月投票の総選挙特需という強い追い風が吹き非常に好調であったが、今9カ月間はさらに続伸という結果となった。

 2017年9月末のフィリピン・マクドナルドの総店舗数は547店で、前年同月末の500店から47店の純増、率にして9%の増加となっている。

 なお、フィリピンでは、ハンバーガーのジョリビーが、国民食とまで称されるほどの圧倒的な支持を得ている。マクドナルドがハンバーガー市場でトップになれない唯一の主要国がフィリピンでもある。ジョリビーのシェアは約50%と見られる。

 ジョリビーはフィリピン最大のファ ストフード企業ジョリビー・フーズ(JFC)によって運営されている。2017年9月末のJFCがマジョリティーを有する事業におけるフィリピン国内店舗数は2,756店に達している。内訳はハンバーガーのジョリビー1,023店、中華のチャウキン510店、ピザのグリーンウイッチ262店、ケーキ・ベーカリーのレッドリボン411店、鶏肉・バーべキュ-のマン・イナサル471店、バーガー・キング79店 となっている。

 上記のように、ハンバーガー・チェーンのジョリビーの2017年9月末の国内店舗数は1,023店で、前年同月末の950店から73店、率にして8%の純増となっている。そして、比マクドナルド547店の約1.9倍であ り、その差はなかなか縮小せず、むしろ拡大傾向にある。ジョリビーのグループ企業である比バーガー・キング79店を加えればその差はさらに拡大、ジョリビー連合が1,102店で比マクドナルドの2倍強となる。

  フィリピンにおいて、ジョリビーがマクドナルドを圧倒している理由は、フィリピン人の食習慣や嗜好を的確に把握したメニューを開発、提供していることで あると考えられる。まず、フィリピン人は甘い味付けを好むが、ハンバーガーのドレッシング、スパゲティー類などは、マクドナルドよりかなり甘い。また、フィリピン人はコメが大好きで三食ともに米食というパターンが多い。また、ファースト・フードレストランといえども、スナックではなく本格的な食事を好む消費者が多い。そこで、ジョリビーはライス付きの割安なセットメニューを数多く用意し、コメ好きのフィリピン人の心をしっかり捉えている。


 食の基本である味付けでは、フィリピン人の嗜好を徹底的に重視する一方で、セントラル・キッチンの高度活用、店舗スタッフの作業や顧客対応などは米国方式のマニュアルに沿うなど効率性を追求していることもジョリビーの強かさであるといえよう。さらに、子供達の誕生パーティーなどイベント会場を提供、宅配、海外フィリピン人就労者(OFW)から留守宅や知人・友人へのプレゼント宅配、グループ内異業種チェーンとのシナジー効果最大化、海外展開拡充、蜜蜂を模したマスコットフル活用などのマーケティング戦略強化に余念がないことも成功につながっている。