比トヨタファイナンシャル、9カ月間で36%増収

純金利収入21億ペソ、純利益3.9億ペソに

2017/11/27

 当地第2位(総資産ベース)の商業銀行であるメトロポリタンバンク&トラスト(メトロバンク)グループの持株会社GTキャピタル・ホールディングス(GTCAP)がトヨタ車事業を強化している。

 GTCAPは、トヨタ自動車のフィリピン拠点であるトヨタモーター・フィリピン(TMPC)の株式保有比率を51%に高めているほか、有力販社であるトヨタ・マニラベイ社(TMBC)のマジョリティーを保有している。さらに、2014年9月には、トヨタファイナンシャル・サービス・フィリピン(TFSPC、設立2002年)の株式40%を取得した。現在のTFSPC株式保有比率はトヨタファイナンシャル・サービス60%、GTCAP40%となっている。

 GTCAPの事業報告書などによると、トヨタファイナンシャル・サービス・フィリピン(TFSPC)の2017年9カ月間(1月~9月)の総金融収入は前年同期比35.8%増の35億5,430万ペソと大幅増収となった。銀行やその他の金融機関等との競争が激化しているが、フィリピンにおける更なる好調なトヨタ車販売(9カ月間で同16%増)にともない、TFSPCの新規融資対象車両数も同35.2%増の1万9,893台へと大幅増加した。そして、融資残高は前年同期末比39.1%増の549億ペソに達した。

 純金利収入も同35.9%増の20億8,490万ペソへと大幅増加した。ただ、貸し倒れ引き当てなど営業費用が同62.5%増加したこと、金利コストも上昇したことなどで、純利益は同8.1%減の3億8,930万ペソへ減少となったが、業容は順調に拡大していると言えよう。下表の様に、年間ベースでは、収益は拡大基調を辿っている。

 

トヨタファイナンシャルサービス・フィリピンの業績推移(単位:百万ペソ、2017年は9カ月間の速報値)
 年 2014年 2015年 20116年 2017年9カ月間 伸び率
金融収入 2,234,7 3,026.7 3,641.7 3,554.3 35.8%
純金利収入 1,423.2 1,767.7 2,148.8 2,084.9 35.9%
純利益 398.0 515.5 555.1 389.3 -8.1%
融資残高 28,357.0 33,304.4 43,789.9 54,917.8 39.1%
総資産 39,424.8 44,278.4 55,581.4 67,415.8 30.3%
株主資本 3,842.7 4,369.4 4,941.5 6,521.4 37.6%
 (出所:GTキャピタル年次報告書より作成、伸び率は前年同期との比較)


 既報のとおり、トヨタモーター・フィリピン(TMP)の2017年9カ月間の売上高は前年同期比13.6%増の1,307億ペソへと二桁増加した。ただ、ペソ安などにともなうコスト増や低採算車種の比率増加、販管増加などで、粗利益は同4.4%減の165億ペソ、営業利益は同9.3%減の125億ペソ、帰属純利益は同5.7%減の99億1,390万ペソへと減少した。もっとも、利益額自体は依然高水準である。下表の様に、年間帰属純利益は2013年が前年比50%増の42億ペソ、14年が同71%増の72億ペソと連続で大幅増加した。そして、15年には同41%増の102億ペソへと増加、100億ペソの大台を突破、16年は119億ペソへ一段と拡大という経緯を辿ってきている。今年も3年連続での100億ペソ突破が期待される状況である。
 

 トヨタモーター・フィリピン(TMP)の業績等の推移(単位:百万ペソ、17年分は9カ月間速報値)
2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 17年9カ月間 伸び率
売上高 72,560.0 80,676.6 104,886.9 114,289.4 155,832.5 130,706.3 13.6%
粗利益 7,993.2 10,256.6 14,628.9 18,298.5 21,072.3 16,470.3 -4.4%
営業利益 3,718.2 5,719.1 9,859.3 13,909.9 15,669.0 12,453.3 -9.3%
帰属純利益 2,808.8 4,219.0 7,208.8 10,194.6 11,929.0 9,913.9 -5.7%
総資産 21,035.9 23,750.0 26,681.4 32,278.3 36,003.4 41,844.8 16.2%
株主資本 8,053.2 9,285.9 11,923.3 15,228.4 17,492.3 15,910.9 -9.0%
 (出所:GTキャピタル事業報告書などより作成、収益伸び率は前年同期比、総資産や株主資本は16年年末値との比較)