26億ドルの和解金、比カジノ事業に優先配分方針

ユニバーサルエンターテインメント、「オカダ・マニラ」に

2018/04/04

   カジノ・娯楽関連企業であるユニバーサルエンターテインメント(旧社名アルゼ、ジャスダック上場、以下UE社)は、3月8日、ウィン・リゾーツ社(Wynn Resorts Ltd.)が総額26億3,200万米ドルをUE社支払うことで和解したと発表した。

 UE社によると、100%子会社のアルゼUSAが保有するウィン・リゾーツ社株式を償還する権利を有していたこと、償還時の株式査定価格には妥協性がなかったこと等をウィン・リゾーツ社が認め、その結果ユニバーサルテンターテインメント社グループに対し、総額26億3,200万米ドルを一括で支払うことに合意、和解契約が締結された。

 UE社グループは、和解契約締結により、経営に重くのしかかっていた高金利の借入と高額な米国訴訟費用の経費から解放されて、大きく身軽になることから、フィリピンのマニラで展開しているカジノリゾート「オカダ・マニラ」の成功と、メーカー事業の強化の両面に注力できる。

 和解契約により得られた収益は、借入金等の弁済及びフィリピンの「オカダ・マニラ」プロジェクトの推進に優先的に配分していく予定である。ただし、借入先との交渉等にも時間を要するため、最終的な確定はまだ先になるもよう。UE社は現在、大手主要格付機関のレーティング審査を受けており、格付け取得で信用性を高めた上で、各借入先との再交渉を始める方針である(18年4月2日のユニバーサルテンターテインメント社発表などより)。


 なお、『オカダ・マニラ』プロジェクトは、フィリピンの国家的プロジェクトであるマ二ラ湾岸沿いの「マニラベイ・エンターテインメントシティー」に、世界最大規模のカジノ施設を含む豪華ホテルや高級レストラン、商業施設、バジェットホテル、コンドミニアム、世界最大級の噴水やビーチクラブを兼備した一大複合リゾート(IR)を創設するというものである。

 『オカダ・マニラ』は約4万1,000平米に及ぶ広大なカジノスペースを有するだけでなく、993室のラグジュアリールームを有するホテル、50店舗程度誘致予定の高級商業施設、25店舗ほどの飲食施設及びナイトクラブやビーチクラブも有するマニラ最大のIRとなる。既に、2016年12月30日に正式にカジノ運営を開始した。そして、2017年3月、世界最大級のマルチカラーの演出による噴水『ザ・ファウンテン』を披露した。現在、ホテル客室の供給増など、全面開業に向けた最終段階の作業に集中的に注力している。


 UE社が先頃発表した2017年度年9カ月間(2017年4月1日~12月31日)の連結決算によると、今9カ月間のカジノリゾート(フィリピン)事業の売上高は160億5,100万円へ拡大したが、固定費負担増加で営業損失は90億2,400万円に達した。今後の見通しとしては、アジアのハブとしてのフィリピン経済特区「エンターテインメント・シティ」の立地及びカジノ税等の税制優遇などの事業環境に加え、「オカダ・マニラ」が強力な集客力をベースに、高い売上高と収益性を実現することが可能と見ている