比セブンイレブン独走、17年の純利益13億ペソ

店舗数断トツ、前年末比290店増の2,285店に

2018/04/05

減少傾向のミニストップ496店やファミマ66店に大差

 フィリピンでもコンビニエンス業界の競争が激化しつつある。現在は業界断トツのセ ブンイレブンをマーキュリー・セルフサービス、ミニストップ、ファミリーマートなどが追うという構図になっている。2015年3月にはローソンもフィリピン1号店をオープン、2017年年初に30店台を突破した。


 首位のセブンイ レブンは、台湾系のプレジデント・チェーン・ストア(ラブアン)ホールディングスが52.216%(2017年9末現在)を所有するフィリピン・セブン社 (PSC)によって運営されている。PSCは1982年11月に設立され、1984年2月にケソン市エドサ通り沿いにオープンした。その後、店舗網拡充に注力、2013年末に1,000店の大台を突破、2016年末には1995店に達し、フィリピンでの24時間営業のブランド・コンビニエンスストア店舗数シェア約60%を 誇っている。このPSCは1998年2月4日にフィリピン証券取引所(PSE)に上場した。

 2017年も店舗数が順調に増加、3月8日に2千店を突破した。年間では290店純増(新規出店317店、閉鎖27店)、2017年末で2,285店となり、前年末の1,995店から率にして14.5%増加した。2016年以降は店舗数の減少が続くミニストップ(2017年末496店)やファミリーマート(同66店)との差を拡大させている。2018年も35億ペソを投じて300店以上の出店を行う意向である。
 
 2017年末のセブンイ レブン2,285店の地域別内訳はルソン地域1,802店(うちマニラ首都圏879店)、セブを中心とするビサヤ地域313店、ダバオを中心とするミンダナオ地域170店となっている。また自営店が46%、54%がフランチャイズ店となっている。

 このようなPSCの2017年(1月~12月)のグループ全売上高は前年比18.2%増の375億3,080万ペソ、商品売上高は同13.2%増の320億8,840万ペソに達した。増収効果や効率化効果などにより営業利益は同12.2%増の19億5,600万ペソ、純利益は同12.1%増の13億1,790万ペソとなった。1株当たり純利益(EPS)も同12.3%増の1.74ペソに達した。上半期はやや伸び悩んだが、第4四半期の純利益が前年同期比25.8%増の6億6,960万ペソと大幅増加、年間で二桁増収増益決算となった。

 下表の様に、PSCの純利益は年間ベースでは順調に増加してきている。2016年は上半期に総選挙(投票日5月)特需があり既存店の売上高が非常に高い伸びを見せたが、2017年前半はその反動で既存店売上高の伸びが鈍った。ちなみに、第1四半期は前年同期比4.4%減と落ち込んだ。しかし、第2四半期は同1.2%増とプラス成長に転じ、第3四半期は同4.1%増、第4四半期は同3.7%増へと回復した。この後半の回復や新店効果により、2017年年間では好業績となった(18年4月3日のフィリピン証券取引所回覧02138-2018号などより)。


フィリピンのセブン・イレブン店舗数(年末)とPSC年間純利益推移(単位:百万ペソ)
時期 06年 07年 08年 09年 10年 11年 12年 13年 14年 15年 16年 17年
店舗数 287 311 368 447 551 689 829 1,009 1,282 1,602 1,995 2.285
純利益 20.1 54.8 84.3 155.8 276.9 356.3 465.2 682.6 873.3 1,008.3 1,175.5 1,317.9
 (出所:フィリピン・セブン資料などより作成)

フィリピンの主な日系コンビニ店舗数(年末・月末値)
年・月 12年 13年 14年 15年 16年 17年
3月 6月 9月 12月 3月 6月 9月 12月
セブンイレブン 829 1,009 1,282 1,602 1,655 1,740 1,840 1,995 2,031 2,087 2,172 2,285
ミニストップ 337 386 454 519 518 513 501 499 493 491 489 496
ファミリーマート 0 31 87 120 104 102 101 99 81 72 68 66
ローソン 0 0 0 16 17 19 24 29 30 32 33 31
(出所:各社資料より作成、ミニストップ、ファミリーマートは日本側発表数値、ローソンはサイト等からの推計値)
注:比セブンイレブンは資本的には台湾プレジデント・チェーン・ストア傘下、ファミリーマートも18年から現地企業傘下に