トヨタ、Grabに1,100億円出資

東南アジアでの協業深化へ

2018/06/14

 トヨタ自動車(以下、トヨタ)は、東南アジアにおける配車サービス大手Grab Holdings Inc.(Grab社)と、東南アジアにおけるモビリティサービス(MaaS)領域の協業深化に合意するとともに、両社の一層の関係強化のため、トヨタがGrab社に出資することを決定した。

 トヨタの出資額は10億ドル(約1,100億円)となる。さらに、意思決定の迅速化のため、トヨタの1名がGrab社の取締役に就任、さらに1名をGrab社の執行役員として派遣し、今後、さらなる人材交流の活発化を図っていく。

 Grab社は、東南アジア8カ国217都市で、個人間のライドシェアおよびタクシー配車サービス、オンデマンド輸送サービスに加え、ドライバー向けレンタカーサービスなどを展開しており、本年3月には競合関係にあったウーバー社の事業譲渡を受け、東南アジア地域において圧倒的シェアを誇っている。

 トヨタとGrab社は、2017年8月から、Grab社の保有するドライバー向けレンタカー100台に、トヨタが開発した法人車向け通信端末「TransLog」を搭載し、トヨタが構築したコネクティッドカーの情報インフラである「モビリティサービスプラットフォーム(MSPF)」に収集された走行データを活用した、Grab社向けのコネクティッドサービスの開発を進めている。既に、現地の保険会社を通じ、シンガポールのGrabレンタカー全車両に対し、走行データ連動型自動車保険を提供するなど、コネクティッド分野における両社の協業が始まっている。

 今後はこれを足がかりに、東南アジア全域におけるGrabレンタカーのコネクティッド化、及び、それらの車両からMSPFに収集される車両データを活用した、走行データ連動型自動車保険に加え、現在開発中のGrabドライバー向け金融サービスや、メンテナンスサービスなど、各種コネクティッドサービスを東南アジア全域に拡大することを狙いに、今回の協業拡大に至った。

 今回のあらたな合意により、両社は東南アジア全域において、これまで開発してきたサービスを本格的な普及フェーズに移行させ、より効率的な配車ビジネスを実現するとともに、将来の新たなモビリティサービスやMaaS車両の開発においても検討を開始する。

 今回の合意にあたり、トヨタの副社長で「コネクティッドカンパニー」プレジデントの友山茂樹氏は「東南アジア地域における配車サービスで最大のシェアを有するGrab社と、弊社のコネクティッド技術を活用した協業関係が強化されることを嬉しく思う。今後は同社とともに、東南アジアの顧客にとって、より魅力的で、安心、安全なモビリティサービスを開発して行きたいと考えている」と語った。

 Grab社のCEOであるアンソニー・タン氏は「トヨタのような世の中に広く貢献している企業と、将来にわたるパートナー関係を結べたことを非常に嬉しく思っている。この強固な協業体制により、Grabは東南アジアにおいて、モビリティソリューションをワンストップで提供できる会社になれると考えている。トヨタをはじめとしたグローバルリーダー企業とともに、安全で利用しやすいライドサービスと住みやすい街、そしてデジタル革命の中で新たなビジネスが次々と興るような未来を創っていくことを楽しみにしている」とコメントした。

 今後もトヨタは、Grab社とそれぞれが培ってきたノウハウやサービス、技術を生かし、東南アジア地域の人々の暮らしに役立つ快適なモビリティ社会の創造に貢献していていく方針である

<Grabについて>
   Grabは、東南アジアにおける優れたオンデマンド交通システム・モバイルペイメントプラットフォームである。Grabのビジネスの中核には、利便性、安全性、信頼性を重視した、ドライバー・乗客向けの交通ソリューションや独自のモバイルペイメントプラットフォームであるGrabPayがある。GrabPayは、東南アジアの数百万人ものGrabの乗客とドライバーによるモバイルペイメントソリューションへのアクセスを増やし、同地域におけるファイナンシャル・インクルージョンを深めている。Grabは現在、フィリピン、シンガポール、インドネシア、マレーシア、タイ、ベトナム、ミャンマー、カンボジアでサービスを提供している(18年6月13日のトヨタ自動車株式会社ニュースリリースな どより)。