日本の接木苗技術で比の野菜高収量・高品質化

四国ベルグアースのJICA中小企業支援採択事業

2018/08/23

 国際協力機構(JICA)は8月22日、「中小企業海外展開支援事業~基礎調査~」において、ベルグアース株式会社(愛媛県宇和島市、山口一彦代表取締役社長)が提案する「現地環境に適した高品質・高収量野菜接木苗の生産販売事業のための基礎調査」(フィリピン)を採択した。
 
 フィリピンでは、野菜栽培において病害虫の発生被害が甚大であり、収量にも多大な影響を及ぼしている。その背景として、病害虫に弱い苗の流通や、大半の生産者に対策手段・方法が普及していない現状がある。提案企業であるベルグアース(株)は接木苗生産量が日本一であり、同生産に関して国内随一の知識・ノウハウを有している。また企画・研究開発を中心とした提案型農業法人としても先進的な取り組みを行っており、全国的にも注目を集めている農業法人である。 
 
 本件は、同社が持つ接木苗生産技術やノウハウを生かし、病害虫に強く、高収量が期待できる野菜接木苗を農家に供給できる体制の構築に向けた調査である。また現地に接木苗の供給体制を整えるだけでなく、農家への病害虫防除に関する知識・栽培技術の啓発活動を行い、フィリピン農業の生産性向上および農家の所得向上に貢献することを目指す(18年8月22日のJICA四国発表より)。 
 
 なお、この接木とは、植物の一部を切り離して、別の植物とつなぎ合わせ、新しい植物を生み出す技術である。双方の性質の長所を持ち合わせ、連作障害や病害虫に強く、生産性に優れた、育てやすい苗ができる。日本などでは、接木の技術は野菜苗や果樹苗でよく利用され、実生苗、自根苗より苗作りに手間がかかるので、やや苗代が高くなるが、病気や暑さ、寒さに強くなったり、生育、実付きがよくなる。