東芝、比で自立型水素エネルギー供給システム普及へ

みずほ情報総研と共同で経産省インフラ展開調査実施

2018/10/01

 東芝エネルギーシステムズは9月28日、経済産業省が公募した「質の高いエネルギーインフラの海外展開に向けた事業実施可能性調査事業」において、フィリピン及びインドネシアにおける「離島向け自立型水素エネルギー供給システム『H2One』適用案件開発 調査事業」をテーマとして9月28日に採択されたと発表した。本調査および両国における「H2One」の事業展開により、エネルギー課題解決への貢献を目指す。

 東芝エネルギーシステムズ(以下:同社)によると、フィリピン・離島向け自立型水素エネルギー供給システム『H2One』適用案件開発 調査事業」はみずほ情報総研と共同で実施予定である。また、「インドネシア・離島向け自立型水素エネルギー供給システム『H2One』適用案件 開発調査事業」は野村総合研究所と共同で実施予定である。

 フィリピンでは、現在供給されている電力の半分は石炭および石油火力で賄われているが、その燃料は輸入に依存しており、エネルギー自給率向上のために再生可能エネルギーへの期待が高まっている。また、電化率の低い離島への対応や、台風等の自然災害リスクへの軽減策も求められている。

 インドネシアの電力供給事業計画(RUPTL)では、今後再生可能エネルギーの設備容量の比率を2017年時点の12.52%から2020年に23%まで増加させることを定めている。また、同国では、離島に住む人口が多く、それぞれの島における安定的かつ経済的な電源確保が課題となっている。

 同社の「H2One」は、同社独自の水素エネルギーマネジメントシステムにより、再生可能エネルギーと水素を活用して、電力を安定的に供給できるCO2フリーの自立型水素エネルギー供給システムである。設置場所や用途に応じて様々なモデルを展開しており、中でも「H2Oneオフグリッドソリューション」は、天候に左右されずに安定的に電力を供給することができる分散型電源システムである。

 同社は本実証において、両国における「H2One」のサプライチェーンの構築に向け、2019年までに「H2One」の導入場所や最適なシステム仕様の検討を行い、将来的にシステムの導入を目指す。2018年8月にすでにインドネシア技術評価応用庁と「H2One」の同国内への普及に向けた協業に合意している。今回の実証事業の採択を通し、インドネシアおよびフィリピンにおけるエネルギー課題の解決に向けた事業検討を加速する方針である。

 同社は、自立型水素エネルギーシステム「H2One」をはじめとする水素エネルギーを活用した技術・製品をグローバルに展開し、エネルギーの地産地消による持続可能なエネルギー社会の実現に向けて貢献していく方針である。