中央銀行インフレ率予想:今年3.2%、来年3.0%
インフレ目標(2~4%)達成へ、18年実績5.2%で目標不達
2019/01/14
フィリピン統計庁(PSA)発表によると、2018年の平均インフレ率(総合消費者物価指数上昇率、2012年=100)は5.2%(速報値)となり、2008年の8.2%(2000年基準)以来、10年ぶりの高水準となった。そして、2018年のインフレ目標2.0~4.0%の上限を大幅に上回ってしまった。
インフレ目標が達成できなかったのは、2016年以来2年ぶりのことである。2015年と2016年は、実績がインフレ目標の下限を下回り目標不達であったが、2018年は、前半の石油価格や農産物価格上昇などにより上限突破での目標不達という逆の結果となった。
2018年のインフレ率は、9月と10月に約10年間での最高の6.7%まで上昇した。しかし、11月は6%、12月には5.1%と依然高水準ながら急鈍化した。中央銀行は、インフレ率は今後も鈍化、2019年平均は3.1%、2020年平均は3.0%となり、インフレ目標内に収まると予想している。
なお、インフレ率予想(Forecast)とインフレ目標 (Target)が混同されることが多いが、両者は異なるものである。予想は単純な見通しであり環境が変化すればその都度変更されるものである。インフレ目標(Target)は金融政策の基本的枠組みであり、それを基準として各種政策が決定されるものであり、頻繁に変更されるものではない 。
フィリピンでは、金融政策を導く基本的枠組みとして、インフレ目標が2002年から正式に導入された。インフレ目標が比較的シンプルな枠組みであり国民にも分かりやすい、中央銀行の重要使命である物価安定に集中しやすい、インフレ目標を発表しそれを基準とした金 融政策を履行することは金融政策に関する透明性や国民からの信頼性を高めるなどから、フィリピン政府はインフレ目標導入に踏み切ったのである。
インフレ率(2012年基準)とインフレ目標の推移(インフレ率予想は中央銀行による)
(出所:フィリピン国家統計庁と中央銀行資料より作成)
インフレ目標が達成できなかったのは、2016年以来2年ぶりのことである。2015年と2016年は、実績がインフレ目標の下限を下回り目標不達であったが、2018年は、前半の石油価格や農産物価格上昇などにより上限突破での目標不達という逆の結果となった。
2018年のインフレ率は、9月と10月に約10年間での最高の6.7%まで上昇した。しかし、11月は6%、12月には5.1%と依然高水準ながら急鈍化した。中央銀行は、インフレ率は今後も鈍化、2019年平均は3.1%、2020年平均は3.0%となり、インフレ目標内に収まると予想している。
なお、インフレ率予想(Forecast)とインフレ目標 (Target)が混同されることが多いが、
フィリピンでは、金融政策を導く基本的枠組みとして、
インフレ率(2012年基準)とインフレ目標の推移(インフレ率予想は中央銀行による)
年 | 2013年 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年予 | 2020年予 |
インフレ率実績 | 2.6% | 3.6% | 0.7% | 1.3% | 2.9% | 5.2% | 3.2%予 | 3.0%予 |
インフレ目標 | 3~5% | 3~5% | 2~4% | 2~4% | 2~4% | 2~4% | 2~4% | 2~4% |