比ユニクロ急ピッチの出店続く、18年末56店に

ASEAN首位の座強固に、2位マレーシアは48店

2019/01/15

 ファーストリテイリングは、2009年のシンガポールにおけるユニクロ1号店出店により、東南アジア・オセアニア地域における展開を開始し、その後、マレーシア、タイ、フィリピン、インドネシア、オーストラリアへと店舗網を拡大。なお、2018年12月末の東南アジア・オセアニア地域における店舗数は213店(東南アジア197店、豪州16店)に達している。そのなかで、近年のフィリピンでの急ピッチの出店が目立つ。

<フィリピンでSMとの合弁事業順調>
 ファーストリテイリングはフィリピンにおけるユニクロ店舗の出店、運営を目的として、2012年1月にSM リテール社と共同出資して合弁会社「ファーストリテイリング・フィリピン社(FRPI、所在地:マニラ首都圏パサイ市、当初資本金:4億ペソ)」を設立した。ファーストリテイリングの出資比率は75%である。合弁相手のSMリテール社は、商業施設運営、銀行、不動産、ホテル、コンベンション事業などを展開するフィリピン最大級のコングロマリットであるSMインベストメンツ社の子会社であり、小売業におけるリーディングカンパニーで50年以上の歴史を誇っている。ユニクロ フィリピン(比ユニクロ)1号店は、2012年6月15日、巨大ショッピングモール「SMモール・オブ・アジア」に出店された。
 
<12月7日に56号店オープン、60店体制を視野に>
 比ユニクロ店舗数は、初出店から約1年後の2013年5月に4店、13年11月には10店に達した。14年12月に20店、約4年後の16年5月に30店、約6年後の18年5月には50店、当初目標の50店体制が構築された。その後も出店が加速、12月7日に、ビサヤ地方セブ市カーディナル・ロサレス通りに立地する「アヤラセンター・セブ」の1階にフィリピン56号店がオープン、60店体制が視野に入ってきた。2018年末の56店は前年末の47店から9店増加、増加ピッチは東南アジアで最高となっている。

<10月にはASEAN最大規模のグローバル旗艦店誕生>
 10月5日、ユニクロのマニラ グローバル旗艦店がオープンした(グロリエッタ5店を増床・改装)。この店舗は、フィリピンのみならず、東南アジア最大級の店舗となり、マカティ市のアヤラ通りに立地する最新のショッピングモール「グロリエッタ5」内に立地する。11の国と地域にある15番目のグローバル旗艦店で売場面積は約4,100平米に達する。
 この出店は、ニューヨークの5番街、ロンドンのオックスフォードストリート、パリのオペラ地区、東京の銀座、シンガポールのオーチャードロードなど世界の主要都市にあるグローバル旗艦店に加え、ユニクロのグローバル戦略におけるマニラでのビジネスの重要性を反映している。
 
<地方にも積極出店、ビサヤで7店、ミンダナオで4店体制に>
 15年央までは、マニラ首都圏を中心とするルソン島での出店に限られていたが、それ以降は首都圏周辺以外にも幅広く展開しつつある。まず2015年に、マニラ首都圏に次ぐ都市圏であるセブに2店をオープンした。そして、セブを中心とするビサヤ地方での店舗数は、上記の「アヤラセンター・セブ」を加え7店となった。さらに、ドゥテルテ大統領のお膝元であるミンダナオ島においても、2017年5月末から6月にかけて、一気に3店が出店された。その後、ジェネラル・サントスにもオープンされ4店体制となっている。
 
<出店数ASEAN首位の座固める>
 2013年8月末時点ではフィリピンのユニクロ店舗数は6店で東南アジア(ASEAN)においては、シンガポールの12店、マレーシア10店、タイ10店の後塵を拝し、第4位にとどまっていた。しかし、2017年10月末には43店で、マレーシアの42店を上回る単独トップに浮上した。上記のとおり、2018年末には56店に達しており、ASEAN出店数首位の座は更に強まりつつある。 


 東南アジアにおけるユニクロ店舗数推移(月末値)
16 17 18
2 5 8 11 2 5 8 11 2 5 8 11  12月
フィリピン 27 30 32 34 35 37 40 45 47 50 51 55 56 
シンガポール 24 24 24 25 25 24 24 25 26 26 26 28 28 
マレーシア 33 34 35 35 37 39 41 43 43 46 48 48 48 
タイ 30 32 32 34 34 34 34 35 35 39 40 44 44 
インドネシア 9 9 9 10 10 11 12 14 15 18 18 21 21 
(出所:ファーストリテイリングのユニクロ事業戦略資料などより作成)