比パナソニック、18年度9カ月間で8%増収

86億6千万ペソに、ペソ安響き51%減益

2019/02/14

 パナソニックのフィリピンにおける製造・販売拠点であるパナソニック・マニュファクチャリング・フィリピン(PMPC、会計期末:3月末)は、2月13日、2018年度(18年4月-19年3月)9カ月間(4月-12月)の事業報告書を公表した。

 それによると、PMPCの今9カ月間の売上高は前年同期比(以下同様)8.0%増の86億5,607万ペソに達した。消費者向け製品が10%増収、B2B製品が34%増収と好調であったことから全体でも増収となった。増収ながら、原材料費値上がりやペソ安による輸入コスト増加などにより、製造コストが12.6%増の70億0,574万ペソへと二桁増加したことで、粗利益は8.0%減の16億5,034万ペソにとどまった。販売費を14.8%削減したが、その他収入が45.7%急減、所得税費用が26.8%増加したこともあって、純利益は50.6%減の6,738万ペソへと大幅減少した。

 PMPCの業績は、2000年代の一時期の低迷期を抜け出て、2010年代は下表のとおり上昇トレンドを続けてきた。2016年度の純利益は2011年度に比べ9.2倍へと急拡大している。2017年度は絶好調であった前年度の反動やペソ安の悪影響で業績向上一服、2018年度9カ月間も増収減益という結果となった。

 今後、主力の家電製品中心に拡販やシェア拡大を図ることで業績向上を目指す。特に、インバーター技術活用のエアコンや洗濯機の拡販を図っていく方針である。2月4日には、洗濯機と扇風機の生産工場を現在のリサール州タイタイからラグナ州サンタロサへ移転すると発表した。これらの高級機種の需要増加に対応するための措置とのことである。


パナソニック・マニュファクチャリング・フィリピン業績推移(単位:万ペソ)
項目 11年度 12年度 13年度 14年度 15年度 16年度 17年度 18年4月-12月 伸び率
売上高 594,273 640,939 659.639 671,343 812,434 997,428 1,049,008 865,607 8.0%
粗利益 142,356 168,913 173,238 142,566 180,352 246,739 201,187 165,034 -8.0%
税引前利益 8,712 16,247 20,152 21,695 39,969 66,721 31,692 13,220 -29.5%
所得税費用 2,902 7,862 3,947 5,437 14,872 13,138 5,288 6,481 26.8%
純利益 5,810 8,384 16,205 16,258 25,098 53,584 26,403 6,738 -50.6%
(出所:PMPC事業報告書から作成)

 なお、PMPCの起源は、1963年5月に設立されたフェスティバル・マニュファクチャリング(FMC)である。FMCは1965年に、プレシジョン・エレクトロニクス(PEC)と社名変更した。このPECと松下電器産業(MEI、社名は当時)が1967年にフィリピンで合弁家電企業を設立した。当初の合弁企業名はPECだったが、25年後の1992年にマツシタ・エレクトリック・フィリピン(MEPCO)と変更された。さらに、2005年に現社名PMPCへと再変更された。すなわちパナソニックは、フィリピンで約50年超の長い歴史を有している。2017年には合弁企業創立50周年を迎え、2018年には本社パナソニックが創立100周年を迎えた。

 この間、フィリピンで初めての非水銀電池やフロンガス不使用の冷蔵庫の生産、家電メーカーとして初めてとなるISO9002、ISO14001認証取得など輝かしい成果を上げてきた。また、フィリピン家電業界をリードする一方、社会貢献活動やパナソニックの「アジア大洋州エコアイディア宣言」に沿った環境保全活動なども推進している。

 PMPCの前身が1983年1月にフィリピン証券取引所(PSE)に新規上場され、現在もPMPCとして上場が継続されている。PMPCの発行済み株式は額面1ペソの普通株式約4億2,272万株である。そのうち、フィリピン人のみが投資可能なA株8,472万株がPSEに上場されている。浮動株比率は14.91%。日本のパソニック本社のPMPC保有比率は2018年12月末時点で79.96%である。パナソニック本社の保有するのはPMPCのB株である。