比セブン-イレブン、第1四半期は実質48%増益に

店舗数も11%増の2,593店で独走、ミンダナオ228店

2019/05/13

  フィリピンでもコンビニエンス業界の競争が激化しつつある。現在は業界断トツのセブン-イレブンをマーキュリー・セルフサービス、ミニストップ、ファミリーマートなどが追うという構図になっている。2015年3月にはローソンもフィリピン1号店をオープン、2019年3月末で39店に達しているとみられる。

 首位のセブン-イレブンは、台湾系のプレジデント・チェーン・ストア(ラブアン)ホールディングスが52.216%(2018年12月末現在)を所有するフィリピン・セブン社 (PSC)によって運営されている。PSCは1982年11月に設立され、1998年2月にフィリピン証券取引所(PSE)に上場した。1984年2月にケソン市エドサ通り沿いに1号店オープン、その後、店舗網拡充に注力、2013年末に1,000店の大台を突破、2018年末には2,550店に達した

 2019年も店舗数が順調に増加している。2019年3月末で2,593店に達し、前年同月末の2,329店から264店、率にして11.3%増加した。今第1四半期は、56店を新規オープン、13店を閉鎖、すなわち43店の純増となっている。そして、ミニストップ(3月末512店)やファミリーマート(同69店)などとの差を拡大させている。
 
 3月末のセブン-イレブン2,593店の地域別内訳はルソン地域1,995店(うちマニラ首都圏943店)、セブを中心とするビサヤ地域370店、ダバオを中心とするミンダナオ地域228店となっている。また自営店が46%、フランチャイズ店が54%となっている。

 このようなPSCの今第1四半期のグループ全売上高は前年同期比(以下、同様)18%増の125億ペソ、営業収入も18%増の117億ペソに達した。増収効果や効率化効果などにより営業利益は39.9%増の4億0,280万ペソに達したが、新リース会計基準採用という一時的要因により報告純利益は41.1%減の1億1,220万ペソへと大幅減少した。しかし、旧会計基準ベースでの営業利益は45.8%増、純利益は48.3%増の2億8,260万ペソであった。すなわち、実質48.3%増益決算であったといえる。

 今第1四半期の実質二桁増収増益の要因は、新店効果に加え、既存店売上高が6.8%増と好調だったことなどである。2018年初から導入された税制促進包括改革(TRAIN)パッケージ1については、個人所得税率引き下げによる購買力向上という好影響をもたらしている。また、加糖飲料への課税に関しても、売上数量は落ち込むことはなく、売上単価の上昇という効果をもたらしているようである(19年5月10日のフィリピン証券取引所回覧03224-2019号などより)。


 フィリピンのセブン-イレブン店舗数(年末)とPSC年間純利益推移(単位:百万ペソ)
時期 06年 07年 08年 09年 10年 11年 12年 13年 14年 15年 16年 17年 18年
店舗数 287 311 368 447 551 689 829 1,009 1,282 1,602 1,995 2.285 2,550
純利益 20.1 54.8 84.3 155.8 276.9 356.3 465.2 682.6 873.3 1,008.3 1,175.5 1,317.9 1,531.8
(出所:フィリピン・セブン資料などより作成)  

 主な日本ブランドのコンビニ店舗数(年末・月末値、比セブン-イレブンやファミリーマートは資本的には非日系)
年・月 15年 16年 17年 18年 19年
3月 6月 9月 12月 3月
セブン-イレブン 1,602 1,995 2,285 2,329 2,386 2,442 2,550 2,593
ミニストップ 519 499 496 489 488 496 499 512
ファミリーマート 120 99 66 64 65 66 69 69
ローソン 16 29 31 34 34 36 38 39
 (出所:各社資料より作成、ミニストップとファミリーマートは日本側発表数値、ローソンはウエブ等か出ら推計)