比パナソニック、売上高9%増の114億ペソに

その他収入急減で44%減益、粗利は7%増加

2019/05/17

 パナソニックのフィリピンにおける製造・販売拠点であるパナソニック・マニュファクチャリング・フィリピン(PMPC、会計期末:3月末)は、5月15日、2018年度(2018年4月~2019年3月)のインフォメーション・ステートメント(速報情報)を公表した。

 インフォメーション・ステートメントには2018年度の業績推計速報値が記載されている。それによると、PMPCの2018年度の売上高は前年度比(以下同様)8.9%増の114億2,081万ペソに達した。エアコンが18.5%増収、洗濯機が12%増収、冷蔵庫が3.6%増収など消費者向け製品が好調であった。

 銅やレジン等の原材料費値上がりやペソ安による輸入コスト増加などにより、製造コストが9.3%増の92億6,701万ペソとなったが、増収効果などで粗利益は7.1%増の21億5,380万ペソへと増加した。販売費は4.4%増、一般管理費は4.9%増にとどまったが、その他収入(金利収入や外為益など)が64.4%急減したことなどで、純利益は43.7%減の1億4,852万ペソへと二桁減少した。

 今後、主力の家電製品中心に拡販やシェア拡大を図ることで更なる業績向上を目指す。特に、インバーター技術活用のエアコンや洗濯機の拡販を図っていく方針である。2月4日には、洗濯機と扇風機の生産工場を現在のリサール州タイタイからラグナ州サンタロサへ移転すると発表した。これらの高級機種の需要増加に対応するための措置とのことである。


         
                パナソニック・マニュファクチャリング・フィリピン業績推移 (単位:万ペソ)
項目 11年度 12年度 13年度 14年度 15年度 16年度 17年度 18年度 伸び率
売上高 594,273 640,939 659.639 671,343 812,434 997,428 1,049,008 1,142,081 8.9%
粗利益 142,356 168,913 173,238 142,566 180,352 246,739 201,187 215,380 7.1%
税引前利益 8,712 16,247 20,152 21,695 39,969 66,721 31,692 27,459 -13.4%
所得税費用 2,902 7,862 3,947 5,437 14,872 13,138 5,288 12,607 138.4%
純利益 5,810 8,384 16,205 16,258 25,098 53,584 26,403 14,852 -43.7%
 (出所:PMPC事業報告書やインフォメーション・ステートメントなどから作成)
 
 なお、PMPCの起源は、1963年5月に設立されたフェスティバル・マニュファクチャリング(FMC)である。FMCは1965年に、プレシジョン・エレクトロニクス(PEC)と社名変更した。このPECと松下電器産業(MEI、社名は当時)が1967年にフィリピンで合弁家電企業を設立した。当初の合弁企業名はPECだったが、25年後の1992年にマツシタ・エレクトリック・フィリピン(MEPCO)と変更された。さらに、2005年に現社名PMPCへと再変更された。すなわちパナソニックは、フィリピンで約50年超の長い歴史を有している。2017年には合弁企業創立50周年を迎え、2018年には本社パナソニックが創立100周年を迎えた。

 この間、フィリピンで初めての非水銀電池やフロンガス不使用の冷蔵庫の生産、家電メーカーとして初めてとなるISO9002、ISO14001認証取得など輝かしい成果を上げてきた。また、フィリピン家電業界をリードする一方、社会貢献活動やパナソニックの「アジア大洋州エコアイディア宣言」に沿った環境保全活動なども推進している。

 PMPCの前身が1983年1月にフィリピン証券取引所(PSE)に新規上場され、現在もPMPCとして上場が継続されている。PMPCの発行済み株式は額面1ペソの普通株式約4億2,272万株である。そのうち、フィリピン人のみが投資可能なA株8,472万株がPSEに上場されている。浮動株比率は14.91%。日本のパソニック本社のPMPC保有比率は2018年4月末時点で79.96%である。パナソニック本社の保有するのはPMPCのB株である。 

 なお、このほどPMPCの会長兼社長が交代した。前任の林眞一氏は、4月1日付けで、パナソニック株式会社アプライアンス社勤務となった。後任として、佐々木雅俊氏が就任した。PMPCは、佐々木雅俊氏を含む今年度の取締役候補者9名のリストを発表している。この9名は、6月21日開催予定の2019年株主年次総会で承認を受けることになる。PMPCの現行の取締役定員は9名、現在、パナソニック本社サイドからは7名の日本人取締役が選出されている。今年度の候補者リストにおいても7名は日本人が占めている。